Vol.0777
<タックスニュース>
国税庁 概算要求6340億円 人件費が86.5%占める
国税庁は8月29日、2026年度予算の概算要求と、機構・定員についての要求をまとめた。一般会計の概算要求額は25年度当初予算額と比べて0.3%減となる6340億3千万円とした。定員は682人の増員を求める一方で、合理化目標数が552人とされていることから、純増要求数は130人となっている。25年度末時点での国税庁の定員は5万6018人。機構要求では、「インボイス制度の円滑な実施および制度の定着」「消費税不正還付事案への厳正な対応」を図るための体制整備などを求めている。
一般会計の概算要求額は25年度比0.3%減の6340億3千万円。このうち「人件費」は同1.4%減の5485億9100万円で、全体の86.5%を占めている。
一般経費は854億3900万円で、このうち「職場環境整備・安全対策経費」を25年度比34.4%増の99億4100万円、「酒類業振興事業経費」を同71.5%増の36億8800万円として大幅に増額する一方、「税制改正関係経費」は同44.7%減の16億6千万円、「税務大学校経費」は同4.3%減の18億1300万円に減らした。
一般経費の大部分を占める「庁局署一般経費」は25年度比5.3%増の630億5300万円を計上。米国関税措置への対応強化と、酒米不足・価格高騰に対応した酒蔵支援強化に必要な経費については「事項要求」とした。
定員は「インボイス制度の円滑な実施および制度の定着」「消費税不正還付事案への厳正な対応」などを強化するため682人の増員を要求。合理化目標数552人との増減を合計すると純増員数は130人となる見通し。
機構要求では、「定年引上げに伴う最適な職場環境の整備」のため国税庁に「監督評価事務専門官(仮称)」「監察事務専門官(同)」のポストを新設する。また、「更なる酒類業振興等のための体制整備」を図るため国税庁に「酒類企画官(同)」を置く。加えて「グローバル・ミニマム課税への対応」として東京国税局に「国際機動課(同)」を設置するほか、「業務センター室拡充への対応」として関信・東京・名古屋・大阪の各国税局に「特別国税管理官(同)」を配置する。
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<タックスワンポイント>
贈与税がかからない火災保険 負担者が別だと生保では税負担
生命保険料控除や損害保険料控除といえば年末調整や確定申告での定番の所得控除だが、同じ保険とはいえ生命保険と火災保険では、課税関係に似て非なる部分も多い。
生命保険金の受け取りは、満期到来時や死亡時があるが、どちらも保険料の負担者と保険金受取人が同一であれば所得税が課される。一方、保険料負担者と保険金の受取人が異なり、かつ保険料負担者が生きている場合は、贈与税の課税対象だ。保険料負担者の死亡によって保険金が支払われる際は相続税がかかる。誰が保険料負担者であるかが重要であるため、名義を無視して生命保険料控除をしていると、後で面倒なことになりやすい。
一方の火災保険では、妻が所有する居宅の火災保険料を夫が負担していて、火災によって妻が保険金を受け取った場合でも、受領した火災保険金は贈与税の対象とはならない。相続税や贈与税の対象になる損害保険金は死亡を原因として支払われるものに限られているからだ。さらに所得税についても、失った財産を保険金でカバーしただけという考えにより、非課税扱いとなる。