タックスニュース

Vol.0786

<タックスニュース>
設備投資促進に向けた税制創設へ  税額控除や即時一括償却を想定

 国内投資の拡大促進に向け、政府・与党は新たな減税措置の創設について検討を進める。政府は11月10日、高市早苗政権下での経済政策を議論する「日本成長戦略会議」の初会合を開き、設備投資促進につながる税制創設を重点施策に盛り込んだ。投資額の一定割合を法人税額から差し引く「税額控除」や、投資の初年度に減価償却費を一括計上できる「即時償却」の導入などが想定されている。経済産業省が8月の税制改正要望で同様の趣旨の内容を提案していた。
 高市首相は同日の衆院予算委員会で、この税制で想定される業界として「造船、航空、宇宙など」を挙げた。こうした産業分野では「リスク低減や社会課題解決のために新たな需要が存在するなかで、十分な供給力が培われていない」とし、「(税制の創設が)戦略投資を強力に引き出す極めて有効な支援策になると思っている」と主張した。また、「設備投資を行う企業のキャッシュフロー改善が見込まれ、政府による投資促進策として欧米各国でも同様の制度が導入されている」とも述べた。
 一方で、新たな制度の導入に伴う減収額の規模や代替財源の方向性は不透明だ。「責任ある積極財政」を掲げる高市政権だが、拡張的な財政政策を続ければ、市場からの信認にも影響する。政府関係者からは「補助金政策と変わらないのではないか」と疑問の声も上がる。また、政府はこれまでも投資促進に関する税優遇措置を実施してきたが、企業の内部留保は2024年度に過去最高を更新している。新たな税制をどれだけ企業の投資活動につなげられるか、綿密な制度設計が求められる。

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<タックスワンポイント>
相続人不存在で法人化  孤独死の遺産

 財産を受け取るべき人がいない場合や、相続人がいても全員が相続放棄をした場合、故人の財産は「相続人不存在」として法人化され、独立した人格を持つ。これによって第三者が勝手に処分等をすることはできなくなる。
 そうなると、仮に故人に金を貸していた場合でも勝手に財産から抜き取ることはできないため、債権者は利害関係人として家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てなくてはならない。
 相続財産管理人とは、相続財産の管理や保存に関する権限を持つ者で、一般的に弁護士などの専門家が家裁で選ばれることが多い。相続財産管理人は、被相続人に対する債権者や受遺者に対して、2カ月以上の期間を定めて請求の申出をすべきことを公告する。債権者や受遺者は、相続財産管理人に請求の申出をすれば、相続財産法人の財産から弁済を受けることになるという流れだ。
 なお、法定相続人がいない被相続人が残した財産は、被相続人と生計をともにしていた人や被相続人の療養看護に努めた人が「特別縁故者」として受け取ることもできる。ただ、被相続人の療養看護をしていた人が裁判所に「特別縁故者」と認めてもらうには、療養看護の日記などの証拠資料を残しておく必要があるだろう。近所で「ちょっと仲が良かった」という程度では特別縁故者と認められるのは難しいようだ。
 そして特別縁故者が誰もいなかったときや、特別縁故者に財産の一部が分与されてもまだ財産が残った場合は、国庫に帰属することになる。特定の個人や団体に財産を残したいという希望があれば、遺言や生前贈与などを検討するのがよいだろう。

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