<タックスニュース>

ユーチューバーの税金トラブル  会計事務所が反論声明

チャンネル登録者数262万人のユーチューバーユニット・がーどまん(写真)を巡る税金トラブルで、顧問契約を結んでいた会計事務所側が「税務申告を行った事実はない」とする声明を発表した。がーどまんは自身の動画で「税理士の不手際で査察調査を受けた」と告発しており、両者の主張が真っ向から対立した形だ。
男性2人組ユーチューバーユニット・がーどまんは6月30日に公開した動画で、所属事務所に紹介された税理士が税務申告を怠ったことが理由で国税局査察部の税務調査が自宅や実家にやってきたと報告。無申告を指摘されて延滞税などで数千万円の税負担が発生したと明かし、事務所や税理士の怠慢があったと告発した。
所属事務所がこれに対し、「税金の未申告が指摘されたのは、がーどまん氏が保有する法人である」、「売上や支出を弊社は把握できる立場になく、税務申告の手続等を代行することは不可能」と事務所側の責任を否定したところ、がーどまんは「税理士の件も動画をアップします、証拠も全部出して公開します」と投稿し、隠し録りによる税理士とみられる男性との会話をユーチューブに公開していた。動画内では、税理士とみられる人物が「所属事務所の社長にも確認していただいて、コロナで少し(申告期限を)引っ張りましょう」などと話している様子や、「延滞税とかあったらですね、税理士賠償保険(編注=税理士職業賠償責任保険)というのがあって…。訴えてくだされば、それが認められると思う。数千万とかになっちゃったとしたら、自力で払うのは難しいので、保険を使ってカバーできないか」「いくらだったら許していただけますか」などと話していた。
動画内で名指しされたサムライ会計事務所(港区)は7月10日に、ホームページ上に「当会計事務所に関連する報道について」とする声明を発表。それによれば、「令和3年1月8日を最後に顧問料等の費用は頂くことはなく、更に、税務申告に必要な資料提供がないことから令和3年度、また、令和4年度の、2期の法人税申告はできませんでした」と自らの落ち度を否定した。また「査察部による調査が入りましたのは、令和5年4月であり、顧問契約解消後でした」とした上で、「税務申告ができなかったのは、申告に必要な資料を頂けず、また、費用も頂けなかったことに理由がありました。この方の税務申告が可能な状況で、当事務所が税務申告を怠った事情は一切なかった」と主張した。がーどまんは11日までに所属事務所とは協議の上で和解したことを発表しているが、会計事務所についてはその後発言していない。
なお動画内にあった税賠の利用を促すような発言について、サムライ会計事務所は「当事務所担当者が、『幾ら支払えば許して貰えるか』等発言した録音が、インターネット上で情報として流れています。この点、この方(編注=がーどまん)ではありませんが、その関係者と称する人から、この報道された件について当事務所として莫大な金銭を請求されたことがありました。よって、当事務所としては、刑事告訴を検討するなかで、必要があって発言したものであり、当事務所の非を認めたものではない」と説明している。

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<タックスワンポイント>

使い勝手の良い合同会社  規模や必要に応じて株式会社化も

会社設立に当たっては、一般的な株式会社だけでなく合同会社という選択肢がある。かつては一般になじみがないとして信用力が劣るイメージもあったが、最近は知名度も上がり活用の仕方も広がってきている。
合同会社は株式会社のように経営と資本(出資)が分かれていないので、お金を出した人(出資者)を「社員」と呼び、出資者が経営も行う。株式会社よりも組織がシンプルで、設立や運営に必要な手続きも簡素に設計されているというメリットがある。
例えば株式会社を設立する際は定款を作成して公証役場で認証を受ける必要があるが、合同会社では定款の認証が不要なため、この手数料(約5万円)がかからない。また登録免許税も株式会社では最低15万円かかるところ6万円(下限)で済むため、司法書士や行政書士に頼んだとしても手数料込みで株式会社の半額以下(10万円前後)で足りる。
さらに合同会社は「社員」の任期がないため、株式会社の役員改選(重任)時にかかる登記手続きが不要で、また決算公告の必要もないので、そうした費用も浮く。このほか、合同会社では増資の際に資本金に組み入れる額は自由に決められることから、増資する金額の全額を資本剰余金に計上すれば、増資の際に登記をしないで済む。
分配の自由という面も株式会社とは大きく異なる。株式会社で稼いだ儲けは、基本的に株式の数に応じて各株主に分配されるが、合同会社では社員間で決めた比率で分配することができる。会社への貢献度などを考慮して、100万円出資した社員と1万円しか出資していない社員が同額の配当を受けることも可能だ。
一方で株式会社に比べて資金調達の手段が限られることや、金額に限らず出資者が同じ議決権を持つため、経営方針や利益分配を巡って出資者同士で対立したときにトラブルになりやすいデメリットがあることは覚えておきたい。
なお合同会社は総社員の同意により、株式会社へ変更することができる。そのため、最初は使い勝手の良い合同会社として事業を進め、規模拡大が必要になったときに株式会社化するという方法もあるだろう。

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