<タックスニュース>

札幌不服審に税理士が嘆願書  「存在意義が問われている」

 札幌国税局に不当な課税を迫られたとして損害賠償を求めている複数事業者の顧問税理士が7月5日、札幌国税不服審判所に、「審判官の職権によりきちんと事実関係の調査確認をしていただきたい」などとする嘆願書を提出した。国税当局の調査を「明らかに“足りていない部分”がある」と断じている
 嘆願書を提出したのは税理士法人Impact(名古屋市中区)の大箸直彦税理士。審判官に適切な事実確認を求めたうえで、「そのために審理期間が長期化するのはやむを得ない」と覚悟を示し、「『納税者の正当な権利利益の救済と税務行政の適正な運営』という審判所の使命を踏まえ、正義の理念と公正中立な立場により、きちんとした『税務行政部内の最終判断』を下して頂きたいと願っております」と結んでいる。
 大箸氏が顧問税理士を務めた事業者は、当局が2種類の追徴税額を書面で示し、税理士を排除しなければ高い方の税額になると脅されて税理士の排除を求められたという。「2種類の税額」には9500万円もの差があったとされる。
 当該事業者は、前任の税理士が担当していた時期に、課税逃れのために所得を過少に申告している。その点について大箸氏は「原処分庁の調査により発覚して以降、審査請求人は猛省し、全ての事実を明らかにして、原処分庁による申告所得の把握に協力してまいりました」と事業者の姿勢を擁護したうえで、「そうであったにもかかわらず、原処分庁は、証拠資料等の検討を十分に行わず、事件の全容を把握しようとせずに、一方的な更正処分を行いました」「当初申告が不正だったからと言って、原処分庁自らが、適正な所得把握を放棄して、何をやっても良いわけではありません」と国税当局の姿勢を糾弾している。
 不服審判所にはさらに、「本審査請求案件につきましては、権利救済機関としての『国税不服審判所の存在意義が問われている』と考えています」と訴えかけている。

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<タックスワンポイント>

早期退職者一時金の税務処理  名前は異なっても退職所得扱い

社会環境の変化やグローバル競争の激化などにより、大企業でも終身雇用の体制から脱却するケースが増えている。かつては「入れば安泰」と言われていたような上場企業が数千人規模の早期退職希望者を募るのも今では珍しくない。
 人件費の削減や社内人材の若返りを目指して早期退職者を募る場合、長年の恩に報いるべく、希望者に対して退職金とは別に特別加算の一時金を支給することが考えられる。この一時金の税務上の取り扱いはどうなるのか。
 会社が従業員に支払うお金には、大きく分けて「給与所得」と「退職所得」の2つがある。給与所得とは、給料や賞与の性質を持つ金品を指し、金銭で支払われるものだけでなく、物や権利などのいわゆる現物給与も含まれる。一方の退職所得とは、退職手当や一時恩給といった「退職により一時に支払いを受ける一切の給与」を指す。
 早期退職希望者に対する特別加算の一時金は、早期退職を優遇する制度の適用を受けて退職する人に支給されるもので、まさに「退職により支払いを受ける給与」に他ならない。つまり通常の退職金と同様に「退職所得」として取り扱うこととなる。その際には、会社に源泉徴収の義務が生じることも忘れないようにしたい。

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