<タックスニュース>

証券業界3団体  確定拠出年金制度の改革へ向け提言

日本証券業協会、投資信託協会、全国証券取引所協議会はこのほど「確定拠出年金制度の改革についての提言」を取りまとめ、7月25日に公表した。企業型DC(企業型確定拠出年金)やイデコ(個人型確定拠出年金)の「拠出枠」のあり方を見直す必要性について強調した内容。
 早急に措置すべき事項として、資産形成の必要性に応じた「拠出限度額の引上げ」と「キャッチアップ拠出」(拠出限度額に加えて一定額の追加拠出)の創設を挙げている。拠出限度額の具体例としては月額10万円への引き上げを提案。また、50歳以上には「キャッチアップ拠出」を設け、限度額を月額15万円に引き上げる案を示している。
 中長期的な課題としては「生涯拠出枠」を創設し、その枠内で毎月・毎年の拠出額の柔軟化を図るべきだとしている。さらに、長期的な資産形成に適した運用を促すため、「指定運用方法」のあり方を見直すことも提言。「ターゲットデートファンド(退職年などあらかじめ目標期日を設定しリスク資産の比率が減少していくよう運用する長期投資商品)など、元本確保型でないものを指定運用方法として設定することを原則とし、仮に指定運用方法を設定しない場合や、元本確保型を指定する場合は、その理由を説明・開示することを義務付けてはどうか」と提案している。
 この「提言」では同時に、証券業界としての政策的な「要望」も示している。主な要望は次の通り。①加入可能年齢及び受給開始年齢上限の引上げ、②マッチング拠出の弾力化、③老齢給付金の受給要件の緩和、④特別法人税の撤廃、⑤中小事業主掛金納付制度(イデコ・プラス)の対象企業の要件緩和、⑥中途引出要件の緩和、⑦国民年金の第3号被保険者がイデコに拠出した掛金を配偶者の所得から控除可能とすること、⑧ポータビリティの充実(中途退職に伴う退職一時金について企業型DCまたはイデコへの移換を可能とすること、財形年金貯蓄からイデコへの移換を可能とすることなど)、⑨事務手続きの簡素化、⑩DCの自動加入・オプトアウト、⑪加入者のDC活用環境の整備、⑫運用商品提供数35本の上限撤廃・緩和。

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<タックスワンポイント>

不動産売却の利益から差し引く譲渡費用の範囲  該当するか否かケースごとに変わる

不動産を売却して得た利益は「譲渡所得」として、所有していた年数などに応じて所得税が課される。その際には、不動産を得るためにかかった取得費用と、売却時に掛かった譲渡費用を差し引ける。
 一般的に譲渡費用として認められる支出は、不動産業者などに支払った仲介手数料、売買契約書などに掛かる印紙税のうち売主として負担したもの、貸家を売るに当たって店子に支払った立退料、土地を更地で売るために建物を取り壊した際の取り壊し費用や建物の損失額などが該当する。それ以外にも、一度売買契約を結んだ後でさらに高く買ってくれる相手が見つかったために、先の契約者に対して支払った契約解除の違約金なども譲渡費用として認められる。
 一方で、銀行などへの抵当権を抹消するための登記費用、譲渡所得を申告するための税理士費用、譲渡後に引っ越すための費用などは譲渡費用に含まれない。物件の期限前弁済手数料も対象外。
 譲渡費用に当たるかどうかは、おおむね、その譲渡を実現するために最低限必要な支出だったかどうかが基準となる。ただ、登記費用やごみ処理費用などは個々の事情によって該当するかどうかが変わり、その境界線は明確ではない。譲渡費用に含められるかどうかで税負担が大きく変わるため、税理士などと相談して間違いない申告を心掛けたい。

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