Vol.0776
<タックスニュース>
公益法人協会 26年度税制改正要望 寄付文化の醸成・定着へ、税制整備求める
公益法人協会はこのほど開いた理事会で2026年度の「税制改正に関する要望」を取りまとめ内閣府に提出した。公益信託制度の抜本的な見直しに伴う税制の整備などを求めている。
協会は要望書で、公益法人の役割と活動について「高齢者支援、子育て支援、青少年の健全育成・教育増進、文化芸術、国内外の災害支援、奨学金や学術研究助成など、コミュニティや専門分野の最前線で多くの方々が献身的に活躍しています。日本においては、これら公益法人をはじめとする非営利の組織は慢性的な資金難やさまざまな過剰な規制があるなか、創意工夫を凝らして安心、安全で安定した社会を作るために懸命に活動を続けています」と説明。そのうえで、「『課題先進国』といわれる日本において、さまざまな社会的課題に取り組む非営利組織の果たす役割は極めて重要」であると指摘し、「これらの団体に対する資金的支援(寄附)によるさらなる公益活動の促進が強く望まれています。公益法人の運営基盤強化、殊に資金・財務面の強化は喫緊の課題であり、それを税制面で支え寄附文化を定着させることが必須」だと主張している。
項目別の要望では、「寄附文化を醸成し、寄附を通じて社会参加を促進するために」として①特定公益増進法人等への法人寄附に係る特別損金算入限度額の拡充②寄附に係る所得・税額控除制度の活用手続きの簡便化③税額控除制度に係るPST(パブリック・サポート・テスト)要件の撤廃④大規模災害等、天災発生時における指定寄附金の制度化⑤公益法人等への資産寄附に係るみなし譲渡所得の特別控除の特例の創設⑥寄附金控除における税額控除率の引き上げ⑦寄附金控除の適用下限額の撤廃――を求めたほか、「公益法人の活動基盤を強化し、公益活動を促進するために」として①特定収入に該当しない寄附金の扱いの見直し②公益法人が拠出する褒賞金受領者に対する非課税措置について③公益目的事業実施のための土地、建物等に対する固定資産税の非課税措置――の3点を要望している。
また、「公益信託制度など特に26年度に要望する事項」として①公益信託制度の抜本的見直しに伴う税制の見直し②消費税インボイス制度における経過措置の延長――を求め、要望書の結語では「非営利の活動を支え、かつ促進する公益税制とするために、今回の制度改正の基本である『民による公益の増進』の一層の拡充を求め、その実現を切に願うものです」としている。
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<タックスワンポイント>
控除できない 弁護士に頼んだ取り立て費用 直接必要でもなく価額増加費用でもない
資産を譲り渡したものの、代金を払ってもらえなかったら、場合によっては取り立てを外注することもある。外注先としてすぐに思い浮かぶのは弁護士だろう。そして譲渡代金が回収できれば、当然この弁護士に報酬を支払うわけだが、その金は譲渡費用として、譲渡所得から控除したいところだ。しかし、譲渡代金の取り立てのための支払いは、譲渡費用とすることはできない。
譲渡収入金額から控除できる費用は、仲介料、登記費用などのように資産を譲渡するために直接要した費用や、借家人を立ち退かせるために支出した立退料などの、資産の譲渡価額を増加させるために譲渡の際に支出した費用とされている。
そのため、譲渡した後に譲渡代金の取り立てのために支出した弁護士費用は、譲渡に直接要した費用ではなく、また譲渡価額を増加させるための費用でもないため、譲渡費用にはならない。