Vol.0775
<タックスニュース>
相続税の物納申請わずか50件 延納も1197件にとどまる
国税庁はこのほど、2024年度の相続税の「物納」「延納」申請・処理状況を公表した。申請件数は「物納」が50件、「延納」が1197件。20年前(05年度)の申請件数は物納が1733件、延納が5763件なので、当時と比べると物納はわずか2.88%、延納は20.77%に過ぎず、ともに大幅減となっている。
「物納」の申請件数は50件、前年度に未処理で繰り越されていた件数は15件で、合計65件。このうち物納が許可された件数は31件、取下げ件数は2件、却下件数は3件で、処理件数の合計は36件だった。全体の47.69%が許可され、55.38%が処理されている。申請金額は89億円、未処理繰越金額は7億円で、合計96億円。このうち物納が許可された金額は45億円だった。
「延納」の申請件数は1197件、未処理繰越件数は273件で、合計1470件。このうち延納が許可された件数は832件、取下げ件数は251件、却下件数は16件で、処理件数の合計は1099件だった。全体の56.59%が許可され、74.76%が処理されている。申請金額は573億円、未処理繰越金額は140億円で、合計713億円。このうち延納が許可された金額は347億円だった。
20年前(05年度)からの処理状況をみると、「物納」「延納」とも申請件数・金額が大幅に減少している。05年度に物納が許可された件数は2730件、金額は1464億円で、延納のそれは5626件、1479億円だった。当時の物納許可件数は24年度の約88倍、金額は約33倍。延納許可件数は約7倍、金額は約4倍だった。
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<タックスワンポイント>
保険の一時金 一時所得か事業所得か 仕事に関係するかどうかで変わる
損害保険契約に基づく一時金や満期返戻金は、税法では基本的に「一時所得」扱いとなる。しかし生命保険の一時金については、「業務に関して受けるもの」に限り、一時所得から除かれる点に注意したい。例えば個人事業者が使用人の退職金原資確保のために、自分を契約者かつ保険金受取人、使用人を被保険者として生命保険契約を結んだとする。この契約に基づいて支払われる満期保険金は、一時所得ではなく「事業所得」扱いとなる。
だがこれはあくまで生命保険のみの扱いだ。ここを勘違いして、損害保険契約に基づく満期返戻金についても、事業に関連する保険契約であれば「事業所得に該当するのではないか」と捉えるミスが少なくない。損害保険契約の満期返戻金については、たとえそれが事業に関連するものであっても「一時所得」として取り扱われる。
気になるのが、支払保険料に関する税務処理との整合性だ。仮に店舗を対象とした損害保険で、支払保険料について事業所得の計算上、積立保険料として資産計上している部分と必要経費として処理している部分があるときはどうするのか。こういう場合、一時所得の計算に当たっては、すでに事業所得の計算上必要経費に算入した部分については再度経費として控除できないため、積立保険料部分のみを控除することになる。