タックスニュース

Vol.0782

<タックスニュース>
東京都が21年間分の消費税を未納  税理士法人の指摘後も放置した疑い

 インボイス制度への対応に伴い、今年5月に東京国税局からの照会を受けて、東京都が都営住宅の家賃収入などを出納管理する「都営住宅等事業会計」について確認したところ、2022年度以前の21年間分の消費税が未納になっていたことが分かった問題で、都は国税局の照会よりも前の24年時点で税理士法人から過去の納税義務についても確認が必要との指摘を受けていたことが明らかになった。10月2日、都議会定例会での一般質問に対する都側の答弁で判明したもの。
 東京都はこのほど、「東京都都営住宅等事業会計(特別会計)における消費税の未申告について」とする告示で、「未納となっている消費税について申告・納付しましたのでお知らせします」としたうえで、「消費税法上、課税売上高が1千万円を上回る特別会計は、原則、消費税を申告し納税する義務が生じます。東京都都営住宅等事業会計については、インボイス制度への対応に伴い、23年度事業分から申告・納税を行っていますが、25年5月に東京国税局より22年度以前の事業分について照会を受け確認したところ、消費税の申告・納税義務があることが分かりました」と経緯を説明。都の対応については「未申告判明後、納税額等の算定を行った結果、対象となる19年度から22年度分までの約1億3642万円(消費税約1億1965万円、延滞税約1079万円、無申告加算税約598万円)を税務署に納付しました」と報告。国税局から照会を受けるよりも前の24年の時点で、都が業務委託している税理士法人から「過去の納税義務についても確認が必要」との指摘を受けていたことについては触れておらず、「対象となる19年度から22年度分まで」の4カ年度分だけを納税したと発表していた。実際には、02年度から22年度分までの21カ年度分が未納になっていた。
 都議会定例会の一般質問で、公認会計士の資格を有する佐藤沙織里都議(千代田区選出、無所属)らが指摘した。都はこれまで、今年5月に東京国税局からの照会を受けたことで未納を把握したと説明しており、24年に税理士法人が指摘した後もこの問題を放置していた疑いが新たに浮上した。
 佐藤都議は「24年に都はデロイトトーマツ税理士法人から指摘を受けていた」と指摘したうえで、都側に「なぜこの時点で都は期限後申告をしなかったのか」と質問。「国税局から照会を受けるまで放置していたことは都の重過失である」と指弾し、都側の認識を質した。
 この質問に対し、山崎弘人住宅政策本部長は「都営住宅等事業会計の23年度分の消費税の申告・納付の業務委託のなかで、税理士法人から22年度以前の納税義務についても確認が必要であるとの指摘があったことを確認しています」と答弁。佐藤智秀総務局長も「税理士法人から指摘があったことについてはすでに把握しており、これをどのように受け止めたのか、なぜ申告がなされなかったのかなどの事実関係を監察におきまして明らかにしてまいります」と答弁し、都が遅くとも24年中には消費税の未納を認識していた事実を認めた。
 都営住宅等事業会計が一般会計から特別会計に移行した02年度以降、都には消費税の納付義務が生じていた。都は19年度~22年度の4カ年度分については納付したが、18年度以前の17カ年度分については「時効のため納付義務が消失した」としている。
 小池百合子都知事は10月3日の会見で「今回の対応の遅れについては、改めて極めて遺憾だと思う。経緯なども含めて監察で徹底した原因究明を行うよう指示していく」と述べた。

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<タックスワンポイント>
奨学金の返済 親が負担すると贈与税の対象  教育資金ともいえるが税務上は債務肩代わり

 奨学金の返済に苦しんでいる大学生の息子に代わり、自分が一括返済してやろうと考えた。ほかの学業に関する費用と同様に、扶養義務者である自分が子の奨学金を肩代わりしても贈与税がかからないと考えてしまいそうだが、それは誤りだ。
 親子や夫婦などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産は原則として、通常必要と認められるものであれば贈与税がかからない。しかし奨学金は教育のためのお金ではあるものの、子ども名義で借りるため、親が一括返済する場合は「子の債務の肩代わり」とみなされるためだ。
 これを回避する方法は2つある。1つ目は、本当に子に資力がなくて奨学金の返済ができないケース。国税庁の定めたルールでは、「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合」に限り、扶養義務者が返済を肩代わりしても贈与税を課さないとしている。ただし「返済が困難」というのは毎月の生活費が苦しい程度ではなく、本当に返済が不可能なケースに限られるので、税務署に認めてもらうハードルは高い。
 もう1つの方法が、肩代わりする額をほかの贈与分を含めても年間110万円までに抑えるやり方だ。贈与税のルールでは年間110万円までは非課税となるため、この範囲内に肩代わり額を抑えることで税金を免れることができる。

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