タックスニュース

Vol.0784

<タックスニュース>
法人県民税の法人税割に0.8%上乗せ  適用期間延長、超過課税が実質恒久化

 法人県民税(法人税割)の標準税率に0.8%程度を上乗せして徴収する特例措置(超過課税)を実施している自治体で、超過課税の適用期間を延長し、実質的に恒久化する動きが広がっている。その多くが、2021年に特例措置を5年間延長しており、来年には期限切れを迎えるためだ。多くのケースでは9月の県議会定例会で適用期間の5年間延長を認める条例を可決。31年まで再延長する内容となっている。
 法人県民税には「均等割」と「法人税割」があり、①県内に事務所・事業所がある法人は均等割と法人税割を②県内に事務所・事業所はないが寮・宿泊所・クラブなどがある法人は均等割を③法人課税信託の引き受けを行うことにより法人税を課される個人で、県内に事務所または事業所を有するものは法人税割を――それぞれ納付する。法人県民税の「均等割」は資本金の大きさなどによる法人区分ごとに税額が定められており、「法人税割」は法人税額に一律の税率を乗じて算出する。
 「超過課税」とは、地方税法で定められた標準税率を超える税率で課税することを指す。多くの自治体では、1975年(昭和50年)に「法人の県民税の特例に関する条例」などといった名称で特例措置を制定しており、おおむね5年に1度のペースで法人税割の標準税率に0.8%程度上乗せする超過課税の適用期間延長を半世紀以上繰り返している。
 今回、さらに5年間の再延長を決めた自治体では、超過課税の状態が55年以上続くことが確定したといえる。
 例えば石川県では、9月に開かれた県議会定例会で「石川県税条例の一部を改正する条例」が可決されたことを受けて、法人県民税の法人税割で実施している超過課税の適用期間を5年間延長した。「26年1月31 日までに終了する事業年度分」としていた適用期間を「31年1月31日までに終了する事業年度分」とする。石川県では21年にも超過課税の適用期間を5年間延長している。対象となるのは①資本金または出資金の額が1億円を超える法人②法人税額が1千万円を超える法人③相互会社――のいずれかに該当する法人。適用税率は1.8%(標準税率1.0%、超過税率0.8%)。資本金が1億円以下で、法人税額が1千万円以下の法人には標準税率1.0%が適用される。
 石川県では超過課税による税収について、「成長戦略の実現や能登半島地震からの復旧・復興などに要する財源の一部に充てる」としている。また、石川県以外の多くの自治体でも「産業振興に充てる」などとして超過課税の適用期間を5年間延長している。

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<タックスワンポイント>
機械をフル稼働 増加償却で損金上積み  8時間超に適用 利益を圧縮

 機械や装置の耐用年数は一般的な稼働時間、つまり1日約8時間の使用を目安にして寿命を想定している。つまり24時間、365日をフル稼働するような〝酷使〟の現場は想定されていない。
 そこで1日8時間を超えるような稼働状況になったケースでは、こうした実態に見合った償却年数にするため、超過使用時間に対応する「増加償却費」を通常の償却費に加算する会計処理方法を適用できる。増加償却費は、通常の償却費に「1日当たりの超過使用時間×3.5÷100」で計算した増加償却割合を掛けた値となる。これらのデータを税務署に届け出ることで増加償却が可能だ。
 例えば自社が大量発注を受けて、機械をフル稼働しなくてはならないような事業年度は、増加償却を行うことで通常よりも多めに償却できる。機械をフル稼働させたということはそれだけ利益も例年より多くなることが予想されるので、償却費を上積みすることで利益の圧縮につなげることができるわけだ。

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