<タックスニュース>

東京地裁で納税者敗訴  中古資産の短期の経費化認めず

中古で取得した機械装置の耐用年数を巡る納税者と国税当局の争いで、東京地方裁判所は3月30日、「簡便法」を適用していた納税者の主張を退ける判決を言い渡した。取得した機械装置を工場内の設備の一部とみなし、短期に経費化できる簡便法ではなく、通常通りに法定耐用年数で計算するべきと判断した。
中古資産の耐用年数は、法令で定められた耐用年数ではなく、使用できる期間を見積もって算出するか、または見積もりが難しければ取得時の経過年数に応じて計算する「簡便法」を使って算出することができる。どちらの方法でも法定耐用年数を適用する場合と比べて短期に費用化することが可能となる。
今回の裁判で国税当局と争った製造販売業者は、既存設備の増強や機能拡充のための機械装置を購入し、耐用年数を簡便法で計算して申告したところ、国税当局から法人税の更正処分を受けたことから訴訟を提起していた。
東京地裁は、設備の一部となる中古資産の取得で簡便法を適用できるのは、その中古資産が設備の相当部分を占めるなど一定のケースに限られると判断した。取得した機械装置単体で本来の機能を発揮するわけではなく、複数の機械装置等で構成する設備の稼働で商品の製造が可能になるという判断のもと、法定耐用年数での減価償却が適正と結論を下している。

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<タックスワンポイント>

4月から厳しくなった教育資金贈与  持ち戻しの対象が3年から無期限に

子や孫への教育資金の贈与について1500万円の一括贈与まで非課税にする「教育資金贈与の特例」が、4月から厳しくなっている。3月末に成立した2021年度税制改正法によるもので、これまで3年が期限とされていた贈与額の「持ち戻し」の対象が無期限となった。
相続税法では原則として、「相続発生前3年以内の生前贈与については、相続財産として扱う」という規定が設けられている。死期を悟ってからの駆け込み贈与を防ぐことが目的だ。
2年前まで、教育資金贈与の特例は、この持ち戻しの対象外となっていた。そのため特例を使えば、余命数カ月の段階であっても子や孫の数だけ財産を非課税で引き継ぐことができ、資産家の駆け込みの相続税対策に多く使われた。
だが19年度改正で、23歳以上の子・孫への贈与については、通常の贈与同様に、3年以内に相続が発生した時には相続財産に持ち戻されることになった。例外は、子や孫が23歳未満であるか、23歳以上であっても学校等に在学するか教育訓練給付金の対象となる訓練を受講していることのみ。つまり、これまでのように相続発生の直前に30歳未満の孫全員に1500万円ずつを贈与して相続財産を圧縮するような相続税対策はできなくなったわけだ。ただし厳格化されたとはいえ、贈与から3年を過ぎれば持ち戻しの対象から外れる点は同特例の変わらぬ強みだった。
それが最新の税制改正で完全にフタがされた形だ。4月以降の贈与については、子や孫が23歳未満であるか、23歳以上であっても学校等に在学するか教育訓練給付金の対象となる訓練を受講していることのどちらかを満たしていなければ、5年前だろうが10年前に贈与した教育資金だろうが、関係なく相続財産に持ち戻されることとなる。
さらに「2割加算」ルールについても厳格化が図られている。相続税のルールでは、法定相続人以外の人、つまり孫などへの遺産引き継ぎについては相続税が2割上乗せされてしまう。しかし教育資金の特例を使って贈与された金額は、これまでその対象外となってきた。結果的に持ち戻されて相続税が課されたとしても、2割分は“丸もうけ”となっていたわけだ。21年度改正ではこの点も改め、孫へ贈与した教育資金に将来相続税が課されたときには、原則どおり2割が上乗せされるようになっている。

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