Vol.0672
<タックスニュース>
行き場のない遺産 21億円超が宙ぶらりん
亡くなった人の財産のうち、誰にも相続されずに自治体が保管している遺留金が20億円を超えていることが分かった。自治体が相続人を探す調査にかかる費用などが膨らんでいるとして、総務省が厚生労働省と法務省に状況改善を勧告した。
身元不明の死者や、連絡がとれる親族がいない人が死亡して残した現金や預貯金は、「遺留金」と呼ばれる。「行旅病人および行旅死亡人取扱法」により、そうした遺留金は自治体が保管、清算することが定められており、最終的に行き先が見つからなければ国庫に納められるものの、それまでに行われる相続人を探す調査などは自治体が行うこととなる。単身世帯が増えて家族のつながりが希薄になるなか、独りで亡くなる人の数は今後も増加が見込まれ、厚生労働省と法務省は2021年、遺留金の処理方法を示した自治体向け手引を作成したばかりだ。
総務省は今回、21年12月~22年3月にかけて全自治体を対象に調査を実施。身寄りのない人の死亡は18年4月~21年10月までの3年半で約10万6000件あり、うち46%で現金や預貯金が「遺留金」となった。自治体の保管額は計約21億5000万円だった。
今回の調査では、死亡届が親族から提出されず相続人の調査に必要な戸籍謄本の交付を請求できないケースや、亡くなった人の葬祭費に充てるために自治体が本人の口座から預金を引き出そうとしても金融機関が応じないケースも確認された。身寄りのない人の葬祭は自治体が実施し、費用は遺留金で賄うのが原則だが、預貯金を引き出そうとした際に金融機関から「相続人以外は引き出せない」などと断られるケースが多数あったという。実際は関連法で引き出しが認められているため、制度の周知が進んでいないとみられる。
総務省は、遺留金の取り扱いについて指針を出している厚生労働省と法務省に対し、戸籍謄本の交付の請求や預金の引き出しについては必要な場合には自治体が対応できる法的根拠があることを指針で示し、関係機関に周知するなど改善を行うよう勧告した。
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<タックスワンポイント>
サボると税金が高くなる年度末の棚卸し 過剰在庫で法人税負担増
年度末には多くの会社が商品の棚卸しを行う。商売の規模によっては1日では終わらないこともあり、1年でもっとも忙しく残業が多い季節という会社もあるだろう。では、この大変な棚卸しは一体何のために行われているかをじっくり考えたことはあるだろうか。
まず棚卸しの最大の目的は、言うまでもなく在庫数の確認だ。中小機構のホームページでは棚卸しの目的について、「期末在庫の数量・評価などを現実に把握するための唯一の手段」と説明している。また在庫の受払システムを持っているような会社にとっては、棚卸資産が実際に存在しているかを確認する意味もある。実際の在庫数が把握できれば、帳簿上の在庫数量の誤りが発見でき、それを修正して正確な利益の計算を行うことが可能となる。
そして棚卸しを行うことには、余分な税金を支払わなくてよいようにするという目的もある。棚卸しを怠ると、正確な在庫数を把握できなくなってしまう。つまり「在庫を抱えすぎているから抑えよう」といった判断も正確に下せず、過剰在庫を抱えるリスクが上がる。そしてこの過剰在庫に、税金がかかるのだ。
例えば商品を10個仕入れて、そのうち8個が売れたとき、仕入原価として計上できるのは売れた8個分だけだ。つまり在庫分は経費にできない。8個しか売れず、売上より仕入れにかかった金額のほうが多かったとしても、2個分を経費にできないせいで、会計上は利益が上がっているとされてしまう。在庫が残っていれば残っているほど法人税の負担は大きくなるわけで、街でよく見かける「年度末大売り出し」や「在庫処分セール」は、こうした過剰在庫を解消するために行われているわけだ。
棚卸しを怠れば在庫数を把握できず、そうなれば今後の販売戦略も立てられず、税金も余分に取られることとなる。さらに利益の計算が正しくなければ税金の計算にも誤りが生まれ、税務調査で過少申告加算税などのペナルティーまで課されかねない。棚卸しは大変な作業だが、ミスなくしっかり行いたい。
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