<タックスニュース>

持続化給付金  全国で相次ぐ「返還相談」

新型コロナウイルスによって収入が減った人を対象とする「持続化給付金」について、全国で返還に関する問い合わせが消費生活センターなどに相次いでいる。一度は不正受給に加担したものの、全国で逮捕者が相次いでいることなどを受けて連絡したものが多いとみられる。その多くのケースでは不正受給した額の何割かを「指南役」とする人間に渡しており、反社会勢力の影もちらつく。
持続化給付金は、新型コロナの影響で収入が一定以上減った企業や個人事業者を対象に、最大200万円を給付するもの。申請に当たっては売上減を証明する書類の提出などが必要だが、スピーディーな執行を重視する反面、審査は簡易なものにとどまっていた。そのため不正受給が相次ぎ、10月7日までに不正受給に関する逮捕者は30人を超えるなど、全国的な問題となっている。
そうしたなかで、全国の消費生活センターに「受給した給付金を返還したい」という相談が少なくとも200件寄せられていることが分かった。その多くは「簡単に金もうけできると知人に言われて申請したが、不正受給になるとは知らなかった」などと話しているという。
給付金の不正受給は、本来であれば支給額と延滞金に加えて2割の加算金が科されるが、梶山経済産業相は10月8日、「中小企業庁が調査を始める前に自主的に返還すれば、加算金や延滞金は徴収しない」との意向を明らかにし、自主的な返還を呼び掛けた。
全国で多発する給付金の不正受給の影には、「指南役」と言われる人間の存在がある。多くのケースには税理士などを名乗る男などが登場し、受給できた給付金のうち何割かを手数料として差し引くという。なかには100万円のうち60万円を手数料として渡したケースもあり、その指南役とは連絡が取れなくなっている。
大規模な不正受給が発覚した沖縄県では、受給した給付金の一部が暴力団や半グレと呼ばれる反社会勢力に流れている可能性があるとして、県警が通常の詐欺事案を扱う捜査2課に加え、組織犯罪を扱う捜査班を立ち上げて真相究明に乗り出す構えだ。

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<タックスワンポイント>

認知症高齢者、手帳がなくても控除対象に  年末調整前に要チェック

年末調整の時期が近づいてきた。高齢の障害者が家族にいる人は、この時期に必ず「障害者控除」の認定を確認しておきたい。
障害者控除は所得税法で規定されている税負担軽減特例の一つで、障害の程度によって27万円~75万円が所得から控除されるというものだ。控除対象となるかどうかは、原則的に「障害者手帳」などを所有しているかで判断されることを知っている人は多いだろう。
しかし実は手帳を持っていなくても、65歳以上で、その障害の程度が「障害者手帳などを持っている知的障害者や身体障害者に準ずる」と市町村長や特別区の区長から認定を受ければ、障害者控除の対象となることはあまり知られていない。そして程度にもよるが、認定を受けられる人には、認知症による要介護や要支援の人も該当する。認知症の高齢者は全国に約500万人以上いるというから、障害者控除を受けられるのにそれを知らずに損をしている人かなりいるのではないだろうか。
税務上の障害者控除の認定を受けるためには、市町村の高齢者福祉課などに「要介護や要支援認定者の障害者控除の認定」の申請をして、障害者控除対象者認定書を入手する必要がある。要介護・要支援の認定を受けると、年末調整の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にその旨を記入することで控除が適用可能だ。もし年末調整までに間に合わなくても、確定申告を行うことでも控除が受けられる。さらに市町村から認定を受けて、それまでに控除漏れがあったときには更正の請求を行うことで還付も可能だが、申告期限から5年間という期限があるので注意したい。
控除を受けることを忘れる人が多い理由の一つには、認知症による「要介護や要支援の認定」と、税務上の「障害者控除の認定」がセットで行われないことがある。どちらも認定者の住所地の市区町村が行うものの、両者の認定は別々に行われているため、認知症によって要介護や要支援の認定をされてもイコール障害者控除の認定がされたわけではないということを覚えておきたい。

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