<タックスニュース>

自民税調「消費税勉強会」  党内の減税論抑え込む狙い

自民党の税制調査会は5月23日、党本部で消費税をテーマとする全体会合を開いた。例年、与党税制改正大綱をとりまとめるために、年末に集中する自民税調の会合がこの時期に開かれるのは極めて異例のこと。参院選を目前に控え、党内で根強い「消費税減税」を求める意見を抑え込む狙いがある。
 今回の会合は、参院選を前にした「消費税勉強会」ともいえるもの。会合には約50人が出席。党執行部、党税調とも消費税減税には否定的で、仮に減税した場合の地方財政や経済活動への影響などを説明し、理解を求めた。
 会合では後藤茂之税調小委員長が「消費税は社会保障制度を支える重要な財源であるほか、税率を引き下げれば多くの関係者にとって大変な実務上の負担になる」と強調。これに対し消費税減税を求める参加者からは「実質賃金が上がらないなかで、物価対策として国民の理解を得やすい」「食料品の消費税率を0%にするべきだ」などとする意見が出た。その一方で、「地方財源として重要」として消費税の減税に慎重な意見もあった。
 会合後、減税派の高市早苗議員は「多くのひとが物価高で困っている。食料品の税率を下げることは国の品格だ」と語った。だが、後藤税調小委員長は「税調で消費税減税について議論する予定はいまのところない」と断言している。

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<タックスワンポイント>

相続税の独自ルール 連帯納付義務  求償権を放棄すると今度は贈与税が!?

 所得税や法人税にはない相続税独自のルールの一つに「連帯納付義務」というものがある。複数いる相続人のうち誰かが相続税を払えない時に、他の相続人が肩代わりしてでも納めなければいけないという制度で、性格としては借金の連帯保証人に近い制度だ。国税当局からすれば誰が払うかは関係なく、遺産全体から生じた税負担分がすべて徴収されない限り納税義務が果たされたとはみなさないということらしい。
 もちろん当局もできる限り本人から徴収しようとはするが、さまざまな理由で納める能力がない、あるいは失踪したなどの理由で現実的に徴収が難しいとなれば、容赦なく連帯納付義務者であるほかの相続人のところに徴収にやってくる。そこで「自分は関係ない」と言い張ってもむだで、最悪の場合は連帯納付義務者の財産が差し押さえされることもあり得る。連帯納付義務を免れるには、相続放棄をするしかない。
 こうした現実を踏まえ、遺産分割協議をする際には、それぞれが負うことになる相続税額と、その納税資金にまで思いを巡らせたほうがよい。たとえほかの相続人と仲が悪くて顔も見たくない相手だったとしても、まわりまわって自分に迷惑が降りかかることを考えれば知らんぷりはできないだろう。
 なお連帯納付義務によって他の人の税金を肩代わりした場合、本来の納税義務者に対して立て替えた分を請求する「求償権」という法律上の権利が生じる。この権利を使うか使わないかは自由だが、相手に立替分を払える資力があるにもかかわらず求償権を行使しないと、今度は立て替えた分の贈与があったとみなされて新たな納税義務が生じるので注意が必要だ。例えば遺産分割協議が長引いてしまい、手元にまだ相続財産がないタイミングで納税を一時的に肩代わりしたが、その後、協議がまとまって遺産が行き渡ったというケースなどが考えられるだろう。

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