<タックスニュース>

邦銀に国際的逆風??資金繰りにマイナス要因!?

 国際的な金融監督の基準を策定するバーゼル銀行監督委員会(本部・スイス)は、金融危機の再発防止のため検討を進めてきた銀行への新たな自己資本規制について、大幅に強化する方向で大筋合意した。自己資本のうち普通株と内部留保の積み増しを求め、自己資本から差し引く項目は今後行う影響度調査の結果をみてから決める方針。
 バーゼル銀行監督委員会は、年内にも規制案を公表する予定。最終案までに修正が加わる可能性は高いが、普通株の比率が低い邦銀は厳しい立場に追い込まれそうだ。景気回復を前提に、早ければ2012年から適用される。
 新たな自己資本規制では、普通株と内部留保を軸とした「狭義の中核的自己資本」を重視する。普通株や内部留保は景気後退時に取崩しや減配が可能で、損失を吸収し業績への影響を和らげる機能が高いためで、議決権がない代わりに配当が高い優先株や優先出資証券は原則除外する方針。繰延税金資産など自己資本から差し引く項目については、影響度調査の結果をみてから決めるよう持ち越されたもようだ。
 公的資金が普通株で投入された欧米の金融機関に比べ、優先株の比率が高い邦銀は不利になる可能性が高い。日本の金融当局は、今後の影響度調査の結果も踏まえ「国際基準として公平性を欠く」と修正を求めていく考え。当初規制強化に積極的だった欧州大陸諸国も態度を軟化させており、最終案策定までに修正を重ねることで邦銀への影響を最小限に抑える方針だ。

<タックスワンポイント>

相続税調査が微増  注視される海外資産

 国税庁はこのほど、平成20事務年度における相続税の調査結果を発表した。それによると、相続税調査の実施件数は1万4110件で前事務年度の1万3845件から微増、そのうち申告漏れなど非違のあったものが1万2008件、非違割合は85・8%だった。
 相続税の申告漏れ課税価格は、全体で4095億円。内訳は現金・預貯金などが1380億円、有価証券が776億円、土地が675億円、そのほかの相続財産(事業用動産生命保険、書画骨とうなど)が1200億円となっている。
 また、海外資産関連事案1件当たりの申告漏れ課税価格は9362億円で、相続税調査全体の平均額3410万円の約2・7倍とかなり大きな金額となった。海外資産については、被相続人が死亡時に国内に住所を有していなかったため、相続人が「申告義務がない」と思い込み無申告となっていたケースが多くみられる。相続人が海外の相続財産の存在を認識していたにもかかわらず、「日本に財産を取り寄せない限り税務署にはばれない」として申告除外するケースもみられた。

税理士法人早川・平会計