Vol.0119号
<タックスニュース>
ガソリン高騰160円超えも トリガー廃止で解決策なく…
民主党は、ガソリン価格の高騰が続いた場合にガソリン税の上乗せ課税を一時的に停止して価格を下げる「トリガー条項」を廃止する方向で検討に入った。この制度は、民主党の衆院選マニフェストで掲げた「暫定税率廃止によるガソリン価格引き下げ」が実現できなかった代わりに導入されたものだが、東日本大震災の復旧・復興の妨げになるとの見方が広がっている。
トリガー条項は、ガソリンの全国平均小売価格が3カ月連続で160円を上回った場合、ガソリン税(1リットル=約53円)のうち上乗せ部分(同約25円)の課税を停止する措置。停止後、130円を3カ月連続で下回ると逆に上乗せ分が復活する仕組みだ。発動されれば、最低3カ月間は継続するため、国と地方で少なくとも5千億円程度の減収となる試算だ。
トリガー条約については、もともと財務省は「税制でガソリン価格をゆがめる措置だ」として導入に反対していたが、民主党内の根強い暫定税率の廃止を求める勢力に押し切られる格好で、昨年4月に導入された経緯がある。
ガソリン価格は150円前後まで高騰しており、160円超えも現実味を帯びている。そこで、民主党は復旧・復興の財源確保に逆行するとして、トリガー条項の廃止に傾いている。自民党も、財源問題に加えて、発動された場合に被災地以外のガソリン需要が高まって、被災地でのガソリン供給が不安定になるとして、廃止を提言している。財務省は「トリガー条項はそもそも党の要望で入れたもの。廃止するならまず党で議論すれば良い」(幹部)と静観している。
<タックスワンポイント>
居住用・非居住用の土地が混在 譲渡特例の併用は可能か?
個人が居住用として使用していた土地の譲渡については税務上、いくつか特例措置が設けられている。ところが、譲渡する居住用の土地について一部、「非居住用」の部分が混在しているようなケースでは、特例の適用に関して疑問が生じることも珍しくない。
居住していた家屋の宅地と、これに隣接する月極駐車場とを1億円で譲渡したAさんは今年3月、土地の譲渡特例に関して名古屋国税局に照会を行った。照会の内容は、この土地の譲渡について、居住用財産に限って適用できる①「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」(措置法31条3)、②「居住用財産の譲渡所得の特別控除」(措置法35条)と、非居住用財産にも適用が認められる③「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」(措置法31条2)との併用は可能か――というもの。
つまり、居住用地である家屋部分の宅地には①もしくは②の特例を適用し、非居住用地である駐車場部分には③の特例をそれぞれ適用して問題ないかというわけだ。これに対し同局は、「差し支えない」と明確に回答している。その理由として、「各特例の重複適用を認めない規定」の例外条項に該当することを挙げている。