<タックスニュース>

消費税増税で大きな課題「販売価格に転嫁できない」  大手の”買いたたき”が原因

 税と社会保障の一体改革に伴う消費増税で、税率引き上げ分を適正に価格反映できるか焦点となった。社会保険診療が非課税の医療機関には、仕入れにかかる増税分を診療報酬に上乗せすることが決まった。一方、一般の商取引では立場の弱い中小企業が価格転嫁できないケースが続出しそうだが、十分な対応策をとるのが難しいのが現状だ。
 医療機関や福祉施設は、薬や医療機器などの仕入れには消費税がかかる一方、社会保険診療や介護保険が非課税のため、患者・利用者から消費税を受けられない。日本医師会は、国に納める消費税が本来より多い「損税」が発生しているとして、仕入れにかかる消費税を控除できる「ゼロ税率」の導入を求めた。ただ、政府は、物品ごとに税率を変える「複数税率」を導入すると、選別に恣意性が加わりかねないことから認めず、消費税の導入時などと同様に、従来通り診療報酬の上乗せで対応することとし、素案にもこの方針を明記した。
 一方、中小企業は消費税の販売価格への転嫁がさらに難しいのが実態だ。日本商工会議所などが行った調査によると、売上高1千万~1500万円以下の事業者の64%が「転嫁できなかった」と回答。売上高の小さい中小企業ほど販売価格への転嫁ができていないことも分かっている。また、今後税率が引き上げられた場合、「転嫁できないと思う」と答えた事業者は71%に上った。価格上昇による販売減が不可避で、納入先による「買いたたき」が原因と見られる。業界によっては、大手が価格転嫁をわざと見合わせて体力勝負を仕掛け、中小の淘汰を狙うケースもうわさされる。素案では、適正な価格転嫁を推進するため、公正取引委員会や中小企業庁ら関係省庁による対策本部を設置する方針も盛り込まれたが、「民間の
商取引には踏み込みづらい」(財務省幹部)のが本音で、実効性は未知数だ。

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<タックスワンポイント>

配偶者と死別、離婚した時は… 寡婦控除と寡夫控除

 夫や妻と離婚し、もしくは死別した人は、その後配偶者が存在しないことによって生活が苦しくなる場合が多いことから所得税の控除が認められている。女性の場合は寡婦、男性の場合は寡夫というが、寡夫は寡婦に比べて控除要件が厳しくなっている。控除が認められる寡婦は夫と死別、もしくは離婚して独身の状態のままでいる、または夫の生死が不明な女性で扶養親族あるいは生計を同じくする子どもがいる場合に認められる。この場合の子どもは総所得金額が38万円以下で、他人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない場合に限られる。夫と死別してその後結婚していない、もしくは夫の生死が不明な女性で合計所得金額が500万円以下の場合は、扶養親族などの要件は関係なく所得控除が認められる。
 また寡婦に該当する人で、①夫と死別し、または離婚した後独身のままでいる、または夫の生死が明らかでない、②扶養親族の中に子どもがいる、③合計所得金額が500万円以下であること、以上の要件をすべて満たす場合は特定の寡婦として、35万円の所得控除を受けることができる。
 一方、寡夫の場合は妻と死別し、もしくは離婚した後独身のままでいる、または妻の生死が明らかでない人で、かつ他人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない生計を同じくする総所得金額が38万円以下の子どもがいる場合に初めて27万円が控除されることになる。なお重婚の取り消しは離婚には当たらないので、寡婦または寡夫控除は適用されない。
 離婚は適法な婚姻の解消であるのに対し、重婚はその成立に瑕疵または違法性のある婚姻の解消に当たるため意味が異なるからだ。例え取り消し後に相手との間に生まれた子どもを扶養していても、重婚の取り消しである以上、所得税の控除を受けることはできない。

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