<タックスニュース>

政府税調 消費増税「予定通りに」の意見相次ぐ  首相の判断への影響はあるのか?

 中長期的な税制のあり方を議論する政府税制調査会は、新メンバーになって2度目の会合を財務省で開いた。来年4月に予定される消費税率5%から8%への引き上げについて、委員からは予定通り実施するべきとの意見が相次いだ。安倍晋三首相は消費税率引き上げについて、種々の経済指標を参考に秋に最終判断することを表明しているが、首相の諮問機関である政府税調の考えが、増税の判断に影響を及ぼすか注目される。
 消費増税法には、景気悪化時に増税を停止できる「景気条項」が存在するため、景気の腰折れを防ぐため、内閣官房参与の浜田宏一・米エール大名誉教授ら政府内からも増税慎重論が出ている。会合で、吉川洋委員(東大教授)は「(消費税を3%から5%に引き上げた)97年に日本経済が厳しい状況に陥ったことを増税慎重論(の根拠)に挙げるが、マイナス成長の最大の原因はアジア通貨危機や金融機関の破たんに発する金融危機だ」と、予定通りの税率引き上げを主張。新浪剛史特別委員(ローソン代表取締役CEO)は「(小売業の)われわれは大変つらい立場だが、消費税は予定通り上げるべきだ」と述べた。
 ただ、政府税調の主なテーマは、安倍首相が諮問した、グローバル企業が税率の低い国の制度を利用して納税を逃れる「租税回避」問題だ。このほか、通常国会で成立した共通番号制度関連法(マイナンバー法)で、国民所得の把握による税分野での活用策についても議題になる。会議終了後、記者会見した中里実会長(東大教授)は、政府税調として消費税引き上げに関して方向性をまとめるかを問われ「特定の方針を示すことは、首相の諮問にもなかったのでそういう判断は求められていない」と否定的な見解を示した。

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<タックスワンポイント>

海外支店に勤務  居住者? 非居住者?

 経済取引の国際化に伴い、海外で働く日本人が増えてきた。日本企業の海外支店などで働く社員を抱える会社が注意しておきたいのが、こうした海外勤務者に支払う給与の課税関係。その社員が税務上の「居住者」か「非居住者」とでは源泉徴収が違ってくるためだ。
 所得税法では、国内に住所があり、または、現在まで引き続き1年以上居所を有する個人を「居住者」とし、居住者以外の個人を「非居住者」と規定している。
 住所とは、個人の生活の本拠のこと。そして生活の本拠かどうかは、客観的事実によって判断する。つまり住所がどこにあるかは、その人の生活の中心がどこかで判定することになる。
 日本企業の海外支店などに勤務するサラリーマンは、一般的には国内に住所がない者と推定され、所得税法上の「非居住者」に該当する。
 非居住者が受け取る給与は、たとえその給与が日本の本社から支払われていても、勤務地が外国であれば原則として日本の所得税の課税はない。
 しかし、同じように海外支店などに勤務するサラリーマンでも、役員となると少し事情が異なってくる。海外支店などに勤務する役員に支払う給与は、日本国内で生じたものと見なされ、支払い時に20%の所得税を源泉徴収する必要がでてくるのだ。
 なお、ここで言う「役員」には、例えば取締役支店長など使用人として常時勤務している役員は含まれないので要注意。
 また、役員給与に対する課税の取り扱いについては、多数の国と租税条約を結んでおり、租税条約に異なる取り扱いがあるときは、その取り扱いが優先することになっている。

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