<タックスニュース>

税の国民負担率  過去最高の48%見通し

国民の所得に占める税金や社会保険料などの負担の割合を示す「国民負担率」が、2021年度は48%に達し、過去最大となる見込みであることが分かった。財務省が2月17日に発表した。所得が増えたものの、税金の増加がそれを上回ったという。一方22年度は46.5%で、7年ぶりに低下すると試算した。
「国民負担率」は、個人や企業の所得などをあわせた国民所得に占める税金や社会保険料の負担の割合で、公的負担の重さを国際的に比較する指標だ。
財務省の発表によれば、21年度の国民負担率は、前年度から0.1ポイント上がって48.0%となり、これまでで最大となった。企業業績が回復したことで所得が増えたものの、法人税などがそれを上回る伸びとなったことから負担率がわずかに上昇した。
また国の財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」は、3回の補正予算を組んだ前の年度と比べて今年度は財政赤字の額が少なかったため2.1ポイント減少し、60.7%となる見込みだという。
財務省は同時に、22年度の負担率も試算した。それによれば22年度は国民の所得の改善がさらに見込まれるとして、国民負担率は1.5ポイント下がって46.5%となり、7年ぶりに低下する見通しだ。潜在的な国民負担率も3.8ポイント下がって56.9%となる予想だという。
国民負担率は、高齢化による社会保障費の増加の影響などで1970年度以降増加傾向が続いている。ただ諸外国をみるとフランスが67.1%。ドイツが54.9%など、日本は先進国の中では負担率が相対的に低いのも事実だ。

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<タックスワンポイント>

公金受取口座とマイナンバー紐付けとの違い  番号紐付けにメリットはあるか?

現在行われている2021年分の確定申告では、新型コロナウイルスの給付金などを迅速に受け取るための「公金受取口座」の先行登録が始まっている。同制度は、マイナンバーと紐付けされた任意の口座を前もって国に教えておくことで給付業務をスピーディーにするものだが、まぎらわしいのが、すでに数年前から存在する「預貯金口座付番制度」との違いだ。
「預貯金口座付番制度」とは、預金者がマイナンバーを金融機関に届け出る制度のこと。18年1月から、投資口座の開設、外国への送金時に個人番号を提出することが全面義務化されたことに加えて、それ以外の普通口座についても任意の番号提出が始まったが、現在のところ紐付けは低調にとどまっている。
なぜ預金口座にマイナンバーを紐付けようとする人が少ないかというと、それは資産情報を当局に完全捕捉されることへの懸念に他ならない。今後、預金保険機構を仲立ちにして相続時などに一括して口座情報を取得できるようになるなど預金者にとってのメリットがないでもないが、やはり口座へのマイナンバー紐付けが有効活用されるのは、主に税や社会保障などに関して行政側が資産情報を調査することが主だからだ。昨秋に発足したデジタル庁では預金口座へのマイナンバー紐付けの罰則付き義務化も検討されたが、口座情報を把握されることに対する国民の反発や不安に配慮し、当面は「個人の希望に沿ってやる。国民に対して義務化はしません」(当時の平井卓也デジタル改革担当相)という形に落ち着いた。
それに対し、今回の「公金受取口座」は、あくまで給付金や児童手当、年金などの受け取りのためだけに利用されるものとされている。マイナンバーは本人確認のために使われるだけという立て付けだ。
なお現在は、マイナンバーカードの取得促進のため、カード取得などをした人に最大2万円分のポイントを還元する「マイナポイント」事業が実施されているが、このうち7500円は、今回の公金受取口座の登録をした人のみが対象だ。内訳としては、マイナンバーカードの取得で5千円、健康保険証としての利用申込で7500円、公金受取口座への登録で7500円で、トータル2万円のポイント還元が受けられる。

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