<タックスニュース>

ニュージーランドで「げっぷ税」導入へ  牛と羊から大量のメタンガス

ニュージーランドのアーダーン首相は10月11日、温暖化ガスであるメタンの排出量を削減する取り組みの一環として、ウシやヒツジなどの家畜を飼育する農家に課税する提案を推進する方針を明らかにした。
ニュージーランドは家畜や食肉の輸出大国で、国内の畜牛は約1000万頭で人口の2倍、ヒツジは約2600万頭で人口の5倍を上回る。これらの家畜の「げっぷ」が生み出すメタンガスは、同国の温暖化ガスの総排出量のほぼ半分を占めている現状がある。生物から排出されるメタンガスには、短期的には二酸化炭素の80倍を超す温室効果があるという。地球温暖化の防止に向けて、各国では業界ごとに排出量を定めた排出量取引制度を定めてきたが、これまで農業は対象外となっていた。
アーダーン首相は新税のアイデアについて、「世界で農業排出に価格を付けて削減する制度を策定した国はほかにない。つまり我が国の農家は率先者としての恩恵を受けられる」と強調した。課税額は飼育する動物の数や農場の規模、使用する肥料の種類、メタン排出量を削減するための方策がとられているかなどによって決める方針だ。2025年に新税をスタートさせ、税収は農家を支援するための研究や補助金に充てるという。
同国では20年ほど前にも、家畜のメタン排出量に応じて農家に課税する案が浮上したものの、農家などの強い反発を受けて廃案となった経緯がある。またオランダでもメタンガス排出量削減のため家畜の数を減らすという案が検討されたことがあるが、こちらも農業関係者らによる激しい抗議運動を受けた。今回の新税についても導入までには激しい議論が起きそうだ。

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<タックスワンポイント>

税関係もパブコメ義務化必要?  原則必須だが税は適用除外

副業の所得区分を巡り、国税庁が当初案で示していた「300万円基準」を撤回したことが話題となっている。国税庁が一度提示した方針を全面的に取り消すというのはレアケースだが、募集したパブリックコメントに通常の70倍にも上る7千件超の意見が寄せられたことが影響したようだ。
このパブコメは、行政手続法の39条に定められた制度で、そこには「命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければならない」と書かれている。「命令等」とは法律ではない政令、省令、許認可基準、行政指導の方針などを指し、国税庁の通達もこれに当たる。つまり行政庁がなんらかの命令等を定める際には、必ずパブリックコメントを実施しなければいけないというのが原則だ。
だが実際には、国税庁は通達を出すたびにパブコメを実施しているわけではない。これはなぜかというと、同じ行政手続法のなかにパブコメを省略してよい「適用除外」の要件が定められているからだ。例えばパブコメをしなくてよい条件とは、公益のために緊急に命令を定めなければならない場合や、他の行政機関がすでにパブコメを実施しているものと同一内容の命令などがある。そして除外要件のなかに「納付すべき金銭に関する法律の制定や改正に付随する命令」があり、税務関係はこれに該当する。
今回の「300万円基準」や馬券の当選金の所得区分など、国税庁がパブコメを実施したことはあるが、これはあくまで「除外要件に該当する場合でも行政機関が必要と認めればパブコメを実施してもよい」という例外で、意地の悪い言い方をしてしまえば国税庁の“お情け”といえるかもしれない。
税金関係の命令をパブコメの対象から除外することについては、法律が制定された当初から疑問の声があったようだ。2005年に開催された行政手続法の改正に関する検討会では、委員から「なぜ税金関係が除外されているのか」と質問されて、財務省は「税務関係法令をパブリックコメントすれば、様々な意見が出て年末の予算プロセスにのせられるか疑問だから」と時間的制約を理由に挙げている。しかし納得できない委員が「通達は国税庁内部の行政規範とはいえ国民に対して影響するものなのでパブコメの対象とすべきだ」と追及すると、「税はほとんど全国民が利害関係者であり、例えば路線価などはそれぞれの利害に基づいた意見が出されて相反するから、パブコメを行うと収拾がつかなくなる」と答えており、こちらが財務省の偽らざる本音だろう。

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