Vol.0663
<タックスニュース>
マイナンバーカード ついに「運転免許」超え
写真付きの本人確認証となるマイナンバーカードの申請件数が、運転免許証の保有件数を超えたことが分かった。制度開始以来、カードの取得率は伸び悩んでいたが、最大2万円分のポイントを還元するキャンペーンが功を奏した。ただ「普及より利便性の向上が重要」との指摘も多く、マイナンバー制度が社会基盤として定着できるかは今後の施策次第といえそうだ。
松本剛明総務大臣は1月6日の記者会見で、マイナンバーカードの申請件数が4日時点で運転免許証の保有件数を超えるおよそ8300万件に達したと明らかにした。これまで当面の目標としていた運転免許証の保有者数およそ8190万人超えを達成した。2022年度内にほぼすべての国民にマイナンバーカードを普及させるという政府目標の達成に向け、残り約3カ月も普及促進への取り組みを進めていくという。
政府はすでに、昨年末が期限となっていた最大2万円分のポイントを還元する「マイナポイント第2弾」を、2月末まで延長することを決めている。松本氏は「これが最後の延長になる。ぜひこの機会に一層多くの方にカード申請をしていただけるように自治体と連携する」と述べたうえで、「申請にかかる(受け取り場所まで)距離がある方には、申請サポート事業でハードルを下げる、カードを持つかどうか決めていない方にはカードを持とうと思ってもらえるように広報活動に注力したい」と語った。
ただ、財務省が昨年7月に公表した予算執行調査では、過半数を超える自治体からカードの利便性向上を求める声が寄せられている。「マイナンバーカード利活用の幅が少なく、マイナンバーカードに興味を持っていない市民に対し取得するメリットを伝えられない」、「取得ばかりに専念してもカードの普及には限界が来るので、利便性向上に向けたシステムづくり、そして広報を進めていき、取得から利用へとつなげることが重要である」、「カード取得後のメリットや社会の未来像などを継続して周知・広報していくことが課題」などの声が多くの自治体から上がった。これを踏まえ調査では、「自治体の申請・交付体制の強化を図るのみならず、政府全体としてカードの利便性向上等をできる限り早急に図るべきではないか」と厳しい評価が下されている。
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<タックスワンポイント>
人間ドックで病気が見つかれば医療費控除 所得から費用を差し引ける条件
年間にかかった医療費のうち10万円を超えた部分を所得から差し引ける「医療費控除」は、適用するためにはいくつかの条件がある。例えば一概に医療費といっても、その費用はあくまで病気やけがの治療に必要な支出でなければならず、インフルエンザのワクチン接種など予防にかかった費用は対象とならない。同じことは人間ドックや健康診断にも言え、疾病の治療に伴う出費ではないため、原則として医療費控除の対象にはならない。
しかし人間ドックなどの費用に医療費控除を使えるケースもあり、それは検査を受けた結果、治療を必要とする疾病が発見された時だ。病気が見つかった時は、その検査は治療に先立って行われる診療と同様のものとみなされ、全額を医療費控除の対象にできる。人間ドックは全身を徹底的に調べるコースだと100万円を超えることもあり、それが所得から差し引けるとなればうれしい話だが、引き換えに重大な病気が見つかってしまったのだから素直に喜べようはずもない。ここはせめて、病気が見つからなければ健康を喜び、病気が見つかってしまったら医療費控除が使えることを心の慰めとするのが前向きな考え方かもしれない。
なお会社が人間ドックの費用を負担した時には、一部の役員や従業員を対象とする検診かどうかで、税務上の扱いが変わる。全従業員(一定の年齢以上のすべての者の場合も可)を対象とするものであれば福利厚生の一環として損金に算入できるが、一部の役員のみを対象とするような検診であれば役員報酬扱いとなり、役員本人には所得税が課され、会社の損金にもできないので気を付けたい。
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