<タックスニュース>

空き家対策  固定資産税の優遇を厳格化

全国で増加傾向にある空き家問題に対処するため、国土交通省は空き家がある土地の固定資産税の優遇措置を見直す。12月下旬にあった有識者会議で明らかにした。
土地への固定資産税は、住宅が建っていれば住宅用地の特例として減税措置を受けられる。住宅の規模や種類によって軽減率は異なる。一方、放置すると倒壊の恐れがあるなどと自治体が判断した場合には「特定空き家」に指定され、減税対象からは外れる。国交省の検討案では、この特定空き家に指定される前の段階でも、管理が不十分となっている空き家を減税対象から外せるようにする。
空き家を放置すれば倒壊の危険や犯罪の温床となるといった懸念から、自治体は個別に条例を制定するほか、空き家の活用を促進させるために借り手に空き家を紹介する「空き家バンク」などをつくり対策を取ってきた。2015年には「空き家対策特別措置法」が施行され、倒壊などの恐れがあること以外に、「衛生上有害となる恐れがある」「景観を損なう」「周辺の生活環境保全を図るために放置することが不適切」のいずれかに該当する場合、特定空き家に指定することができるようになり、自治体が所有者に対して撤去や修繕を命令できるように市町村の権限を強化した。だが、国交省によると特定空き家に指定されていないが管理不十分とされる空き家は約24万戸に上るという。こうした空き家も税優遇の対象から外せるように新たな基準を設置する方向で検討する。1月中に取りまとめ、通常国会への関連法の改正案提出を目指す。

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<タックスワンポイント>

元日に切り替わる相続税路線価  死亡推定時刻で争いが起きることも

年が明けるたびに税の世界に訪れる変化の一つが「路線価」だ。土地の相続財産としての価値は、国税庁が毎年7月に発表する「相続税路線価」によって算定される。路線価は毎年1月1日時点での一定の範囲内の道路(路線)に面した土地を評価するものなので、つまり土地の相続税評価額は、死亡した年の元日の値段によって決められる。例えば今年の1月1日から12月31日までに発生した相続については、7月に発表される「2023年の元日の値段」が適用されることになる。
ここで疑問に思うのが、例えば今の時期のように、今年の路線価が発表される前に相続が発生すると、評価額をどのように算出して相続税を納めればいいのだろうか。
この場合、例えば一つのやり方として、国土交通省が毎年3月ごろに発表する「公示地価」から路線価を〝推測〟するということが考えられる。公示地価は土地取引の基準などになる土地の値段で、路線価より約4カ月早く地価変動の動向を把握することが可能だ。相続が発生した時点ですでに公示地価が発表されているなら、公示地価の前年からの変動率を前年分の路線価に掛け合わせることで、おおよその相続税路線価を割り出せば、とりあえずの遺産分割協議をまとめることはできるだろう。
しかしこの概算評価はあくまで暫定的なもので、今年発生した相続には今年分の路線価を適用するというルールに変わりはない。7月になって正確な路線価が発表されれば、それに合わせて遺産分割協議を修正し、申告も今年の路線価を使って行わければならない。相続発生から申告期限までは9カ月あるため、遺産分割協議などは概算で進めておいて、申告は7月の路線価発表を待つのが賢明だろう。
ちなみに年をまたいでの路線価の切り替わりを巡っては、大晦日に亡くなったのか新年に亡くなったかで、相続税に大きな差が出るケースも考えられる。過去には、元日の朝にお風呂になくなっているところを発見された女性の相続について、「故人は紅白歌合戦を見た後に除夜の鐘を聞いてから入浴する習慣があった」と主張して国税と争った遺族もいた。

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