<タックスニュース>

新型コロナで金密輸が増加か  消費税脱税の“利ざや”が拡大

中部国際空港(愛知県常滑市)で4月、韓国から輸入した電動工具のなかに金塊18キロが隠されているのが見つかり、名古屋税関が押収していたことが分かった。金額で約1億円相当だという。新型コロナウイルスの影響で市場が混乱するなかで、安全な資産とされる金の価格は上昇傾向にある。金の価格が上がるほど密輸による利ざやも拡大するため、当局は密輸の増加に目を光らせている。
押収された金塊は航空貨物として電動工具数十点のなかに隠され、工具の構造に応じて成形されていたという。
金の価格は世界共通だが、日本国内で売買をしようとすると消費税がかけられる。1億円の金塊を国内の貴金属店が買い取ろうとすると、売り主に対して消費税10%を上乗せした1億1千万円を支払わなければならない。これを踏まえ、国外から日本に金を持ち込もうとすると、税関であらかじめ消費税10%分を納めることが義務付けられている。税関で納めた分と売却時に得た分で差し引きはゼロになるわけだ。
しかし密輸すれば税関を通らないため、消費税分を納める必要がない。そうして持ち込んだ金を国内で売却すれば、たとえ外国で正当な価格を払って金を入手していたとしても、消費税分がまるまる儲けになるわけだ。昨年10月に消費税が8%から10%に引き上げられたことで、金密輸の“旨味”は増している。
また新型コロナウイルスの世界的流行を受けて、「有事の安全資産」ともいわれる金の価格は上昇傾向にある。年初には1グラム=5300円ほどだったが、5月中旬には6000円を突破し、一時は7000円近くまで上昇した。金価格が上がるほど消費税から生じる利ざやも拡大するため、今後も金密輸は増加する可能性が高い。

 

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<タックスワンポイント>

コロナ緊急対策!  国民健康保険で傷病手当金

被用者が加入する健康保険と自営業者などの国民健康保険(国保)の最も大きな違いは、健康保険には業務外のケガや病気で働けなくなって給料が出ないときに現金給付してくれる傷病手当金があることだろう。自らの判断で働く時間や内容を決める自営業者などにはそぐわないものとして国保にはない制度だが、政府は3月に発表した新型コロナウイルス感染症の緊急対策で国保にも傷病手当金を給付することを決めた。
健康保険は会社などに努める人を対象にしているものの、週30時間以上の人が対象だ。これに満たない人の加入要件は以前に比べると緩和されているものの、それでも▽1年以上の雇用見込み▽月額8万8000円以上の賃金▽週20時間以上の労働時間▽従業員500人超の事業所に勤務――などハードルは高い。
そこでこれらに該当しないパート労働者などの短時間労働者は会社勤めをしていても各自で国保に加入している。そもそも自営業者や農業従事者をメインとしていた国保だが、現在では国保加入者3100万人のうち自営業者は16%、農林水産業受持者はわずか2%に過ぎず、全体の30%以上を勤め人が占めるに至っている。
そこで新型コロナ緊急対策では勤め人に限って国保加入者にも傷病保証金の支給を認め、業務上のケガや病気でない事由により4日以上休んで賃金がないとき、4日目から月額賃金の3分の2を最長1年6カ月給付することになった。適用期間は今年1月から9月に限定されているが、入院が継続すれば1年6カ月まで給付される。
なお、今回の給付措置に関しては国が全額を負担するが、手続きは国保を運営する各地方自治体で行うことになる。

 

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