<タックスニュース>

所得税法を一部改正  「税制適格SO」利用促進

国税庁は7月7日、ストックオプション(SO)の権利行使価格の設定に必要な株価の算定ルールに関する所得税法と租税特別措置法の法令解釈通達を一部改正した。未上場企業であれば、理論上、1円で設定できるようになり、一定の条件を設けることで税制優遇を受けられる「税制適格SO」の利用促進が期待される。
国税庁は5月30日~6月29日に算定ルールの見直しについて意見公募し、計36件の意見が届けられた。改正に賛同する意見が大半を占め、改正案の修正はなかった。
新ルールでは、純資産の時価を発行済み株式数で割って算定する「純資産価額方式」など「財産評価基本通達」内の算定方法が利用できる。純資産がマイナスの未上場企業では算出結果がマイナスになることもあるが、法律上0円には設定できないため、理論上、1円が最低限の価格となる。
一方で、日本公認会計士協会の意見は、法人税制の見直しの必要性を指摘した。税制適格SOを行使して社員らが報酬を得た場合、会社側は費用計上することになるが、現行の法人税法上は「損金不算入」になると指摘。「実質的に法人税を負担した上で付与することにほかならない」として、「課税の公平性を損ねない範囲でできる限り税負担の少ない形で利用可能であることが望ましい」と税制上の措置の検討を求めた。
SOは新株予約権の1種で、あらかじめ決めた「権利行使価格」で株式を購入できる権利。スタートアップ企業が成果報酬として役員や従業員らに交付する事例が多く、税制適格SOは一定の条件を定めることで、給与所得(税率最大55%)としての課税を繰り延べ、譲渡所得(税率20%)として課税することができる。
税制適格SOの権利行使価格は「SOを付与する時の株価以上」が要件で、未上場のスタートアップには算定が困難で、導入のハードルとなっていた。

税、申告、事業承継のお悩みは無料相談実施中の税理士法人早川・平会計までどうぞ

<タックスワンポイント>

公正証書遺言の面倒な「証人」探し  信頼できる第三者はどこから連れてくる?

全文を自分で書く「自筆証書遺言書」は、思いついたタイミングで費用を掛けずに残せるという手軽さがあるが、書き方を少しでも間違えればその全部が無効になる恐れがある。そのため、確実に効力を発揮する遺言を残す方法としては、公正役場で公証人に作成してもらう「公正証書遺言」に軍配があがる。
公正証書遺言は、役場が原本を保管するので紛失リスクがなく、法律のプロが作成するので遺言が無効になることもない。作成に手数料がかかるが、財産を思い通りに渡すための支出と考えれば仕方ないだろう。なお手数料は、渡す財産の価格が100万円までなら5千円、100万円超200万円以下は7千円と、財産の価格によって変わる。財産が10億円を超えると、「24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額」となる。
ただし公正証書遺言を作る際に面倒なのが、証人が2人いなければならないという点だ。所有財産を含めた遺言の内容を知られてしまうので、いかに仲が良くても近所の友だちに任せるのははばかられる。だったら最も信頼できる妻と子どもに任せようか、となるところだが、それは認められない。法律上、未成年者、推定相続人や財産を受け取る人、その配属者および直系血族、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人は公正証書遺言の証人になれないと決められているためだ。相続の際に利害関係が生じる人は同席できないというわけだ。
もし知り合いに頼める人がいなければ、弁護士などの専門家に頼むという手もあるが、これまた料金が別途発生してしまう。遺言をちゃんと残すのも一苦労だ。

相続専門の税理士による、相続、生前対策、事業承継のご相談は、初回無料で実施中です

税理士法人早川・平会計