<タックスニュース>

甘利・自民税調会長  「中小統合うながす税制を」

菅義偉政権が掲げる中小企業の再編統合について、甘利明・自民党税制調査会長が「統合しやすくなるような(税制上の)手立てがあるなら検討したい」と述べ、積極的に取り組んでいく姿勢を示した。10月14日に行われた報道各社向けのインタビューで発言したもの。菅政権は中小企業の定義の見直しにも乗り出していて、中小を取り巻く税のあり方は今後大きく変わっていきそうだ。
甘利氏は2021年度税制改正の方向性として、「(これまでの税制は)雇用や企業の現状を維持するのが主眼で、新型コロナウイルスのような災害対応に手が届かない部分もあった。これからは産業政策として成長にシフトする必要がある」と強調し、経済対策としての税制を重視する考えを示した。
そのメインとなるのが、菅政権の主要政策でもあるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進だ。甘利氏は個別の企業のデジタル投資に税優遇を設ける従来のやり方を「(政府が目指す)デジタル化を遅らせる」と指摘。企業や行政が一致した方向に向かってデジタル化を進めていくことを重視し、「『つながるDX』に誘導していく」と語った。
同じく菅政権が掲げる中小企業の再編に向けた取り組みについては、具体策はまだ議論していないものの、「(中小企業が)統合しやすくなるような手立てがあるなら検討したい」と前向きな姿勢を示した。
そのほか、来年度は3年に1度の固定資産税の評価替えの年に当たることを踏まえ、「評価した今年1月の経済体力とその後の体力低下は相当かい離がある」と述べ、商業地について何らかの調整が必要との認識を示した。

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<タックスワンポイント>

テレワークでの業務災害認定の条件  原則として労災適用だが判断はあくまで労基署

仕事中に椅子から滑り落ちてケガをした際、それが会社内であれば通常は何の疑いもなく労災が認定される。それは会社側による安全配慮義務違反などが問われるためだ。
ではテレワーク中はどうかというと、「業務上」であれば会社内と同様に原則として労災が適用されることになる。厚生労働省の「テレワーク導入ための労務管理等Q&A集」によると、「自宅でトイレに行くため作業場所を離席した後、作業場所に戻り椅子に座ろうとして転倒した」という例が挙げられ、これも業務災害の適用になることが明記されている。
もちろん、労災は業務に起因する災害でることが条件であるため、たとえ業務時間中であっても食事や育児、洗濯など、私的行為によるケガは認められない。
ただ、業務に起因するケガであることの証明については、状況を録画しているなどの物的証拠がなければ、労働者が労災であることを明らかにするのは難しい。同時に会社としては、労働者の訴えに対し、認めるかどうかの判断を迫られ、「怪しい」と感じたときは主張を却下することもあるだろう。
だが、ここで大事なことは労災の認定は会社が決めることではなく、あくまでも労働基準監督署に権限があるということだ。会社の思い込みや独自ルールで労災と認めない判断をした後、労働者が労基署に駆け込んで労災が認められれば、会社としては難しい立場に立たされることもある。労災の訴えがあったときは勝手な判断をせず、社労士や弁護士に相談するほうがベターだろう。

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