<タックスニュース>

企業の“税の成績表”  国税庁が税務CG公表

国税庁は2月21日、大企業に対して税務上のコーポレートガバナンス(企業統治)を高めるよう働きかける「税務コーポレートガバナンス」(税務CG)の実績を公表した。申告書の点検や面談などを通じた取り組みが企業の税務コンプライアンス向上に有効だとして、今後は対象企業を増やすことも検討するという。
 税務CGは、企業に対して税務調査を実施した際に、税務に関する会社の体制などを確認・判定し、国税局調査部長などが企業の経営責任者と面談して評価結果を伝達。その上で改善事項について意見交換するなどの取り組みを行う。いわば企業の“税の成績表”ともいえ、当局はこれを「協力的手法」と呼び、現在は資本金40億円以上の「特官所掌法人」500社を対象に行っている。
 今回公表された取り組みの実績によれば、2022事務年度には138法人に対して税務CGの判定を行い、31法人を「良好」、91法人を「おおむね良好」と判定した。一方、「改善が必要」も16法人あった。具体的な評価項目では、「経営責任者等の関与・指導」では74%を良好とする一方で、「税務に関する内部牽制の体制」や「税務調査での指摘事項等に係る再発防止策」では、良好と判定したのは3割に満たなかった。この2項目では改善が必要と判定された法人が4割弱に上り、多くの企業に足りていない部分だと当局が見ていることが分かる。
 当局はこれまでの実績を踏まえ、「特官所掌法人以外の法人であっても、税務CGの充実を通じて税務コンプライアンスの維持・向上を図ることが効果的」だとして、「対象法人拡大や対象法人の実情に応じた実施方法」を今後検討していくとしている。

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<タックスワンポイント>

老後見据えたリフォームで相続税対策  暮らしは快適に、評価額は7割に

 高齢社会化が進む中で、資産を次世代に継承するだけでなく、本人が満足する人生の閉じ方を考える“終活”の考え方が定着して久しい。人生100年時代とも言われ、老後の人生が数十年続くことが珍しくない現代では、高齢化に伴って身体能力が衰えゆく中で老後をどう快適に過ごすかは誰もが考えなければならないテーマだろう。
 住宅でいえば、若い頃に買ったマイホームがバリアフリー仕様になっていることはまず考えられない。都市部では3階建て住宅も多いため、年を取れば階段を上がるだけでもひと苦労だ。たとえ今は不自由なく暮らせていても、体のどこかが不自由になったとき、今と同じように住める保証はどこにもない。そうした問題を解決する方策として、自宅がより住みやすくなるよう、段差をなくしたり水回りを一カ所に集約したりするといったリフォームを施すことは一つの手段だ。
 老後を見据えた、言わば「終活リフォーム」のメリットは、慣れ親しんだ自宅に長く住み続けられるだけでなく、長期間にわたって高齢者施設に入ったり、住みやすいように自宅を一から建て替えたりするよりも、コストがかからずに済む点だ。また築10年を超える持ち家にバリアフリー化を進めるリフォームを行うと、家屋にかかる固定資産税の3分の1が1年間免除されるという税優遇もある。税優遇だけでなく、バリアフリーに向けた取り組みを支援する施策は自治体レベルでもあり、様々なサポートを受けることが可能だ。
 さらに終活リフォームは相続税対策にもつながる。建物にリフォームを施すと、国税庁は「リフォーム費用の7割分の価値が上昇したとみなす」という判定基準を用いている。つまり同じ500万円でも、現金のまま持っていれば10割評価されたものが、リフォーム費用として使うことで相続財産としては7割の350万円で評価される。住みよい住宅を手に入れられることに加えて、評価額を3割削ることができるわけだ。もしその家を子に相続するのであれば、リフォームの恩恵はそのまま子も受けられることになり、他のところで無駄遣いをするよりはよほど有効な相続税対策ではないだろうか。

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