<タックスニュース>

固定資産税の過大徴収  専門家が語る税額是正の難しさ

全国で固定資産税の過大徴収が絶えない。自治体の計算ミスが主な要因だが、納税者がその誤りを指摘するのは難しい。
 所有する不動産の固定資産税が過大徴収されているのではないか。それを確認するには、「不動産の評価額の算出過程を知り、間違っているのか、どこで間違えたのかを検証する必要がある」というのは、フジ総合グループ大阪事務所の住江悠不動産鑑定士だ。その作業は当然ながら素人の手に負えるものではなく、専門家の力を借りなければならない。
 そうした手間を惜しみ、素人が役所に直接出向くような行動は「やめたほうがいい」という。住江氏が知るケースでは、ある不動産オーナーが固定資産税について評価額の見直しを求めたところ、なんと過大徴収されているどころか、計算ミスによって実際よりも安くなっていたことが判明。誤りを指摘したつもりが、かえって税額を増やす結果となったそうだ。
 自治体の評価ミスを見つけたところで、すぐ過大徴収分が返ってくるとも限らない。固定資産税アドバイザーの稲垣俊勝氏(瑞宝興業会長)によれば、「自治体は納税者に対して、見せかけの対応しかしてくれない」という。
 稲垣氏がある土地の道路幅が間違って表記されているのではないかと自治体に問い合わせたところ、数字のミスはあっさり認めたものの、評価額は修正されなかった。なぜ修正されないかのかと聞くと、「まだ誤びゅう訂正の表が回ってきていないだけ」とはぐらかされたという。だが、その後も誤りは訂正されなかった。
 こうした自治体を相手に法廷で争うとなると、「あちら(役所)は税金を使って裁判する。でも、こちら(納税者)は自己負担で裁判費用を賄う必要がある」(稲垣氏)。
 固定資産税の過大徴収を指摘し、役所に誤りを修正させて正しい税額へ是正させようとするなら、専門家の力を借りて慎重に準備していくしか道はなさそうだ。

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 <タックスワンポイント>

遺言を書いても安心できない遺留分の罠  最低限の取り分は用意しておきたい

亡くなった人が遺言を作成していなければ、遺産をどう分配するかは遺産分割協議によって決める。協議の成立には相続人全員の合意が必要となり、相続人の中に1人でも異議を唱える人がいれば協議は成立しない。その場合は裁判所での調停・審判などによって決着するしかない。
 父母や配偶者、子など一定範囲の法定相続人には「最低限の遺産を取得できる権利」である「遺留分」が存在する。民法は、遺言で相続割合を自由に決定できると認める一方、「遺留分に関する規定に違反することができない」とただし書きを付けている。
 死亡時の相続財産だけではなく、特定の相続人へのまとまった額の生前贈与についても、「特別受益」として遺留分の計算基礎となる財産に加えられる。
 ある企業では、先代経営者が生前に自社株式100%を後継者である長男に生前贈与し、他の事業用資産についても遺言書を作成して長男に引き継ぐ旨を明記していた。すると死後に長女から「遺言の内容に納得できない。後継者に生前贈与された自社株式を含めて遺留分を侵害している」と主張されたという。後継者である長男への自社株式の贈与は死去の5年前に行われ、すでに贈与税の納付も済んでいたというが、残念ながら長女の請求は正当なものだ。長女を説得できない限り、長男が遺留分侵害額を用意して渡さなければならない。こうした相続トラブルを防止するためには、遺留分まで考慮した遺言を作成したり、遺留分に相当する金銭をあらかじめ準備したりしておくことが重要になる。

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