Vol.0723
<タックスニュース>
国税庁「業務センター」へ協力呼び掛け 納税者からは戸惑いの声も
国税庁がホームページで「業務センター」への協力を呼び掛けている。2019年7月から一部の税務署の内部事務を国税局の専担部署などに集約しているが、一般の納税者はもとより税理士にも周知されているとは言い難い状況だ。聞き慣れない部門からの突然の問い合わせに、納税者からは戸惑いの声も聞かれる。
国税庁が「納税者や税理士の皆様へのお願い」として協力を求めているのは、業務センターへの税務申告書や申請書の提出について。イータックス(データ)はこれまでどおり所轄の税務署に送信するものの、書面(紙)で提出する場合には業務センターへ郵送するよう呼び掛けている。
当局では、内部事務の効率化を図るため、2019年から一部の税務署の業務を専担部署で集約処理する「内部事務のセンター化」を進めてきている。
21年には国税局に「業務センター」を設置し、税務署の行ってきた事務の一部を担当している。ここでいう「事務」についてHPでは「申告書の入力処理、申告内容についての照会文書の発送などの事務」を例示している。その上でHPでは、納税者や税理士に対して電話や文書により問い合わせがあることに理解を求めている。
この「お願い」にあるとおり、実際に税務申告書の内容などに関して管轄税務署ではなく「業務センター」からの問い合わせが増えているようだ。聞き慣れない部署からの突然の電話に「振り込め詐欺かと思った」など、納税者からは戸惑いの声が聞かれる。なお、HPには「内部事務のセンター化は、納税者の皆様の所轄税務署を変更するものではありません」と記載している。
今年7月の国税庁の人事異動後には、センター化の対象税務署は全税務署の過半数を占めるとみられている。
26年には、全国の国税局と税務署をネットワークで結ぶ「国税総合管理(KSK)システム」が全面リニューアルされる予定だが、これに合わせて全税務署を対象にセンター化を完成させるもようだ。
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<タックスワンポイント>
取引先が手形不渡り、自社はどうする 得意先の経営悪化も報酬改定の理由
役員報酬を年度途中で改定すると、その年度に受け取る報酬のうち改定前との差額分は原則として損金にできない。年度途中に自由に役員報酬を変えられると利益調整が可能になってしまうためだ。
改定しても損金算入を認められる数少ない例外の一つが経営状態の著しい悪化などやむを得ない理由がある場合に報酬を減額する「業績悪化事由」だ。会社を立て直すために報酬減額が避けられないと客観的に判断できれば、改定後の報酬も損金にできる。
業績悪化事由が認められるのは、(1)株主との関係上、業績悪化について経営上の責任を問われて減額したケース、(2)取引銀行との借入金返済のリスケ協議で減額を要請されたケース、(3)取引先等の信用確保のため経営改善計画を策定し、そのなかに役員報酬減額が盛り込まれたケース――など。主に自社の経営に責任があって業績が悪化した場合を想定しているが、現実には自社に責任がなくても業績悪化の波に飲み込まれることもある。例えば最大の取引先が不渡り手形を出してしまったケースなどが該当する。主要な得意先の経営悪化によって自社の経営の著しい悪化が避けられない場合も、役員報酬を減額する「やむを得ない理由」に該当する。
だが実際には、業績悪化を理由とした役員報酬の改定は難しいようだ。国税当局は「法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかった」というくらいでは業績悪化に該当しないと通達で規定してい。過去には経常利益が前年比6%減少したという理由で役員報酬を減額した会社が「業績悪化に当たらない」とされたケースもある。
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