<タックスニュース>

香港のゲーム会社に18億円追徴  「グループリクエスト」で発覚

人気のオンラインゲームなどを配信する香港のゲーム会社「ヨタゲームズ」が2022年までの3年間で、日本のユーザーによるアイテム購入などで発生した消費税計約15億円を納めていなかったとして、東京国税局から無申告加算税を含めて約18億円を追徴課税されていたことが分かった。
 当局は、同社が日本子会社に対して保有していた約15億円の債権を差し押さえた。同社は税務調査に協力的ではなく、当局に財産散逸の恐れがあると判断されたようだ。国税通則法で定められた「繰り上げ請求」という手法を使い、通常より早期の差し押さえを実施した。同社は22年までの3年間に、日本市場で約150億円を売り上げていたが、消費税を申告していなかった。
 当局では、海外事業者の多くが利用する配信プラットフォームがあるシンガポールの政府に対し、租税条約に基づいて業者リストを求めるなどして税務調査を行った。しかし、同社が税務調査に協力的ではなく、日本での納税窓口となる「納税管理人」も置いていなかったため、当局では自主的に納税する見込みがないと判断し納付期限を繰り上げる請求を行った。だが、期限を過ぎても納税しなかったことから、通常より早い10日ほどの手続きで国内にある子会社の財産を差し押さえた。
 日本では15年の税制改正で、オンラインゲームなどの国境を越えて配信されるデジタルコンテンツについて、配信元である海外事業者に日本国内のユーザーが支払った代金には消費税がかかることを明確化した。この税制改正により、海外事業者には消費税の申告・納税が義務化されている。
 消費税を免れている海外事業者を把握するため、各国の税務当局間では租税条約に基づく「グループリクエスト」という仕組みを利用している。調査対象を特定することなく、一定の条件を満たした事業者の情報をまとめて提供するよう、相手国の税務当局に求めることができる。
 25年4月からは、海外事業者が日本で売ったアプリにかかる消費税について、配信プラットフォーム側に課税する制度がスタートする。これまではアプリを開発した海外事業者側に納税義務があったが、今後は配信プラットフォーム側が事業者から代理徴収するかたちで日本に納税する。

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<タックスワンポイント>

会社の制服に税金が課される例外  私服にも使えると給料扱いに

 従業員に支給または貸与する制服は、給与所得として源泉徴収する必要はない。従業員が制服の支給で得る経済的利益は、制服を必要とする社内ルールから生じた副次的な利益に過ぎず、給与所得者に特別な利益を与える目的で与えられたものではないからだ。さらに、給与所得者の役務提供に対する対価という性格も極めて希薄だということもある。
 ただし、いくら会社が「制服」と呼んでいても、税務上、制服と認められないこともある点には気を付けたい。実は、非課税となる制服には一定の決まりがある。その事務服や作業服の貸与・支給が非課税となるためには、①もっぱら勤務する場所で通常の職務を行ううえで着用するもので、私用には着用しないあるいは着用できないものであること、②事務服等の支給または貸与が、その職場に属する者の全員または一定の仕事に従事する者の全員を対象として行われるものであること――が必要だ。
 さらに厳格にいえば、着用する者がそれによって、一見して特定の職員または特定雇用主の従業員であることが判別できるものであることが条件となる。例えば、私服にもなり得る一般的なスーツを支給した場合には、給与扱いとなり、源泉徴収しなければならない。

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