<タックスニュース>

ふるさと納税  コロナ禍で返礼品の人気復活

任意の自治体に寄付をすると住んでいる場所に納める住民税などが差し引かれる「ふるさと納税」で、2020年度に寄せられた寄付総額が約6725億円となり、過去最高を記録した。総務省がこのほど公表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「巣ごもり需要」を受けて、各地の返礼品を家で楽しむ同制度が人気を集めた。
総務省のまとめたデータによれば、20年度のふるさと納税による寄付額は6724.9億円で、7年ぶりに減少した前年から1.4倍に増加した。前年は返礼品に対する規制強化の影響から減少に転じていたが、コロナ禍で制度人気が復活した形だ。
20年度に全国で最も多い寄付を集めたのは、宮崎県都城市で135億2500万円の寄付を集めた。同市は昨年2位だった。次いで北海道紋別市の133億9300万円、同根室市の125億4600万円と続く。規制前の駆け込みキャンペーンで多額の寄付を集めて前年度1位の寄付を集めた大阪府泉佐野市は、制度から除外されたことでランク外となった。ただ同市はその後裁判で総務省の主張を退け、制度に復帰している。
また逆に、同制度によって税収が減った“流出”の額が最も多かったのは、横浜市だった。流出額は176億9500万円となる。以下、名古屋市の106億4900万円、大阪市の91億7600万円と大都市が続く。
なおふるさと納税制度を巡っては、土石流で甚大な被害を受けた静岡県熱海市に寄付をする人が急増している。ポータルサイト「ふるさとチョイス」によれば、同サイトを通じて行われた被災地支援の寄付金はすでに1億円を突破しているという。
2008年にスタートしたふるさと納税制度が一気に普及したのは、11年3月に発生した東日本大震災がきっかけだった。被災地を応援したいと考える人が同制度を利用したことで、制度の利用者は震災前の3倍、寄付額も約2倍へと急増した。16年4月に発生した地震によって大きな被害を受けた熊本県や各市町村にも約30億円の寄付が集まった。ふるさと納税制度は政府が利便性向上のために手続きをなるべく簡素化していることもあって利用しやすく、また寄付したお金は自治体の手に確実に届く。手間が少なく被災地を支援できる方法として、一定の地位を確立したものと言えそうだ。

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<タックスワンポイント>

繰り延べはできるが釈然としない?  補助金も税金から逃げられない

国は企業の設備投資を促すため様々な補助金制度を設けているが、この受け取った補助金とて税金からは逃げられない。国や自治体から交付された補助金は会社の「益金」として、法人税の対象になる。つまり額面でたとえ100万円の補助金を受け取れたとしても全額は自由にできず、その一部はもとから税金として納める分が含まれていることになる。
ただ、「新型の機械設備を買いたい」という目的で受け取った補助金にすぐに法人税がかかると、設備を買った後に手元に納税資金が残らず、経営が苦しくなる恐れが出てくる。それでは中小企業を支援するという補助金の趣旨からして本末転倒になってしまうため、補助金で固定資産を取得したときには、税務上の特殊な処理を行うことが認められている。
具体的には、設備の取得価額から補助分を差し引いて、その年度の利益から除外することが可能だ。つまり80万円の補助金を使って100万円の機械を買ったなら、取得価額はその差額である20万円となる。このような特殊な処理によって、投資年度にかかる法人税負担を抑える処理を、会計用語で「圧縮記帳」という。補助金によって得た利益を実態より「圧縮」するというわけだ。
しかし注意したいのは、この圧縮記帳はあくまで課税の“繰り延べ”に過ぎず、税負担がトータルで減るわけではないという点だ。取得価額が減るということは、つまり年々の減価償却で損金にできる額が減ることを意味する。つまり2年目以降は、圧縮記帳をしない場合より法人税負担が重くなってしまうのだ。トータルでみれば繰り延べをしてもしなくても法人税負担は同額となる。補助金を得て設備投資をした年は、会社のキャッシュフローや今後の資金繰り計画などを考慮した上で、圧縮記帳をすべきかどうかを選択すべきだろう。

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