<タックスニュース>

デジタル庁が発足  任務はマイナンバー普及

菅政権の推し進めるデジタル化の司令塔となるデジタル庁が9月1日に発足した。省庁を横断した勧告権など強い権限を持つ同省庁の主要任務は、全国自治体のシステム共通化と、マイナンバー制度の普及活用だ。
マイナンバーカードについて平井卓也デジタル相は「デジタル時代のパスポート」と呼び、あらゆる行政手続きのツールとして活用を目指す。すでに今年10月からは医療機関や薬局での健康保険証としての利用が始まることが決まっている。また来年度中には、銀行口座とマイナンバーを紐づけることで、災害時の給付金が迅速に受け取れる仕組みも始まる。2024年末までに、運転免許証との一体化も目指すなど、マイナンバーとカードの利用範囲を拡大させていく構えだ。
菅政権は発足以来、マイナンバーカードの普及をデジタル化のカギに挙げ、23年度末までのほぼすべての国民の取得を目標に掲げている。しかし実際には37.5%と取得率は伸び悩んでいる。カード取得で5千円分のポイントを還元するという“ニンジン”によって取得率は一時的に上昇したものの、カードそのものに恩恵を感じられない現状を打破しない限り、目標の達成は難しいと言わざるを得ない。
昨年に自民党のデジタル社会推進本部(甘利明座長)がデジタル庁の創設に向けてまとめた提言でも、マイナンバーの活用がメインとなった。そのなかには従来の保険証の将来的な廃止といったカード取得の〝実質義務化〟も盛り込まれ、平井デジタル相も「(発行義務がなくなれば)保険者の判断でこれまでの保険証は当然なくなっていく」と語るなど、可能性を否定しなかった。
カードの利便性が向上し、結果として取得率が向上するのならよいが、国民の健康を盾にマイナンバーカードの取得を迫っているととられれば、反発は避けられない。いかにカードの利用機会を増やしていくことができるか、デジタル庁に課された任務は簡単ではなさそうだ。

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<タックスワンポイント>

従業員が死亡! 争族トラブルに巻き込まれぬよう  規定に従い迷わず退職金支払い

従業員が死亡した際、退職金の支給についての規定がなく、また本人からの具体的な指定がなければ、会社は退職金を民法上の遺産相続人に支払うことになる。このとき相続人が子ども2人であればそれぞれに支払うのが基本ルールだ。ただ、兄弟間で協議して仮に長男を代表とする次男からの委任状があれば、長男一人に送金することで問題ない。
ただし、会社としては死亡した従業員の相続人が本当に兄弟だけであるのかは確認したいところでもある。実は当該従業員には2人の息子たちが知らないところで家庭を持ち、内縁の妻と子どもがいるようなケースも、現実にはあり得ないことではない。もしも遺産相続が揉めることになれば、莫大な退職金を一部の相続人だけに支払ったとして会社がゴタゴタに巻き込まれることにもなりかねない。
そこで、念のために従業員の出生から死亡に至る改正原戸籍やその他の戸籍謄本などを取り寄せたうえで、兄弟から実印を押した退職金支払いに関する合意書を提出してもらうことが考えられる。これにより退職金の授受の記録が明確になり、会社は善意の第三者としての地位を確立できる。
なお、従業員の死亡による退職金の受取人をあらかじめ退職金規程などで定めておく際には、民法の遺産相続の順位にかかわらず、従業員と同居をしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母などの順番でも構わないとされている。退職金規程などで受取人の順番を規定しておくことは、誰に支払うかを迷わずに済み、またその確認に係る時間や労力を省くことにもなるだろう。

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