<タックスニュース>

所得15億円超えの中小企業  減税対象から除外へ

 政府・与党は大企業並みの所得がある中小企業について、中小企業支援のために時限的に設けた減税措置の対象から除外することを決めた。大企業より優遇される中小企業向け減税を受けて節税しようと、資本金を中小企業の基準である1億円以下に抑える動きがあるため、所得に応じた課税ができるようにし、公平性を担保するのが狙いだ。
 中小企業を資本金1億円以下と定義する法人税法は変えないが、中小企業支援のための時限的な減税措置を受けられる対象は過去3年間の所得が15億円までの企業に限定する。黒字を計上する大企業の平均所得が15億円であることを参考に定めた。2017年度の与党税制改正に盛り込む。
 研究開発減税や設備投資減税などには、財務状況が脆弱な中小企業を支援するために減税幅などを大企業よりも大きくするなどの特別措置が設けられている。所得が15億円超の中小企業の場合は、これらの特別措置が受けられなくなる。約250万社の中小企業のうち数百社が増税となる見込みだ。一方、法人税率など法人税法で定められた恒久的な中小企業支援措置については現行通り、資本金1億円以下の中小企業が対象になる。
 大企業が資本金を減資して減らした事例としては吉本興業が昨年秋、資本金125億円を1億円に減資。経営不振に陥っていたシャープは昨年春に1218億円の資本金を1億円に減らすことを計画したが、批判が高まり5億円とすることで落ち着いた。

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<タックスワンポイント>

みなし仕入れ率が最も高い「卸売業」とは  商品のカタチを変えると別業種に

 税務署に納める消費税額は、売上分の消費税額から仕入れ分の消費税額を引いた額にするのが原則だが、前々事業年度の課税売上高が5千万円以下の会社は、業種ごとに決められた「みなし仕入れ率」に基づいて納付税額を計算する「簡易課税制度」を使うこともできる。簡易課税制度では、課税売上高にみなし仕入れ率を掛けた額を仕入れ控除税額にするので、実際の課税仕入れ額を算出しなくても済むうえ、原則方式と比べて税額が低くなることもある。
 みなし仕入れ率は、業種を6種に分けて40%から90%まで設定されている。
 みなし仕入れ率が最も高いのは「卸売業」だ。この業種の定義について国税庁は「ほかの者から購入した商品をその性質、形状を変更しないでほかの事業者に販売する事業」と定めている。しかし、業者から仕入れた商品にラベルを張り付けるだけなら、形状が多少変わっているといっても、卸売業として90%のみなし仕入れ率を利用できる。また、組み立て式の家具を配送のために組み上げて販売する業者も卸売業だ。さらに、仕入れ商品を箱詰めしてセット販売しても、税務上では「形状」を変更したとは判断されない。
 みなし仕入れ率をめぐっては、国税不服審判所で争われたことがあった。事業者から購入した塗料を用い、別の事業者から預かった家具に塗装する塗装業者が、「塗料の性質をおよび形状を変えずに販売する事業なので、『卸売業』のみなし仕入れ率を使えるはず」と主張したが、「塗料自体を販売する事業とは言えない」としてその主張が棄却された。

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