<タックスニュース>

税制改正経費が1・8倍に増加  「特別機動国税徴収官」を新設

 国税庁の2018年度予算は7026億4700万円で、17年度当初予算の7004億1600万円から22億3100万円増えて0・3%の微増となった。
 内訳を見ると、17年度より金額が増加したのは情報化経費、納税者利便向上経費、税制改正関係経費などで、特に税制改正経費は19年10月に控える消費増税への対応のためか、前年比79・8%増と著しい伸びを見せている。
 一方、導入3年目を迎えるマイナンバー制度の関連費用は55億5300万円から53億5900万円へと微減した。
 人員面では前年から1061人を増員するものの、同時に定員合理化によって1054人が削減されるため、18年度の定員は5万5674人で前年度より7人の増加となる。
 役職で見てみると、大型の滞納案件に対応するため、東京国税局に「特別機動国税徴収官(仮称)」の新ポストを導入するほか、海外資産を持つ富裕層や企業の国外取引への備えとして各国税局に国際税務専門官を増員し、各地の税務署にも特別国税徴収官を増やすなど、インターネットを通じた国際取引や富裕層の海外資産、税滞納に対応するための人員が多く割かれた。

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<タックスワンポイント>

1人千円課税の出国税は19年から  年間400億円の税収見込み

 税制改正で創設される「国際観光旅客税(通称、出国税)」は、2019年1月7日にスタート予定。恒久的に課税される国税として「地価税」以来の27年ぶりの新税だ。外国人、日本人にかかわらず、出国時に1人1千円が課税される。外国人観光客は帰国時のみだが、頻繁に海外出張する日本人ビジネスマンは少々負担が多くなる。ちなみに海外では出国税は珍しくない。韓国は約1千円、アメリカは外国人だけ約1500円、ドイツは航空券税で約1千円~6千円、オーストラリア約5300円など。
 今回の出国税は、2020年の東京オリンピックに向けて急増する外国人旅行客を見込んでいる。政府は3年後の訪日外国人旅行客の目標数を年間4千万人と設定。2016年は2400万人だったが、その1・7倍だからかなり強気だ。達成すれば国に年間400億円の税金が流れ込むことになる。
 財源の使途は、「快適に旅行できる環境整備」「国の魅力に関する情報の入手の容易化」「観光資源を整備し、地域での体験満足度を向上」とする。だが、まだ具体的な政策は見えてこない。一方で、外国人観光客の急増で、「観光公害」が続出している。観光地で地元民が路線バスに乗れない、民家で許可なく宿泊させるヤミ民泊が横行するなどのトラブルが深刻化。実質的な「環境整備」を行うなら、観光関連業者はもちろん、地域住民の要望やアイデアを柔軟に取り入れてほしいものだ。

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