<タックスニュース>

ポイント還元予算膨張の兆し  企業が経費削減に利用?

 10月の消費税増税の経済対策の柱となるキャッシュレス決済時のポイント還元制度について、経産省は2019年度予算案に計上したポイント還元費用が枯渇した場合、予算の追加計上を求める方向だ。財務省は「あり得ない」と予算膨張に予防線を張るが、首相官邸はキャッシュレス決済の普及を後押ししており、旗色は悪そうだ。
 世耕弘成経済産業相が2月5日の衆院予算委員会で「予定より早く予算が尽きるという見込みになった時は、財政当局と相談して対応を検討する」と述べ、利用者の急増で予算が足りなくなった場合は追加で予算要求する可能性を示唆した。
 ポイント還元制度は、中小の小売り、飲食店などでクレジットカードなど現金を使わない手段で決済した場合に、決済額の最大5%を国が消費者にポイントで還元する仕組み。政府は19年度予算案に2798億円を計上し、中小店舗への決済端末の導入費用などを除く約1600億円を消費者への還元に充てる予定。期間は10月から9カ月間で、20年度も約1000億円の予算を計上する方針だ。
 麻生太郎財務相は1月下旬、「足りなくなることを想定しているわけでは、まったくない」と述べ、予算不足の可能性を否定している。ただ、今回の制度は個人の消費者だけでなく法人も利用できる仕組み。経費節減を迫られている企業が中小小売店で備品などを大量に購入する可能性もある。その場合、還元費用が1兆円規模に膨らむ可能性が想定される。
 財務省幹部は「企業のコスト削減目的で費用が膨張するのは許されない」と主張するが、安倍晋三首相は国会でキャッシュレス決済普及の重要性を指摘しており、予算の追加計上の可能性は決して低くはない。

税、申告、事業承継のお悩みは無料相談実施中の税理士法人早川・平会計までどうぞ

<タックスワンポイント>

借家権の相続で大家の許可は一切不要  本来目的以外の使用や定期借地権は注意

 大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然――。江戸時代の家主と借家人には公的な権利義務関係はなく、家主である大家が全ての権利を握る権力者であったため、店子の生存権すら大家が握っていたといっても過言ではない。なお、当時の大家とは、真のオーナーから管理一切を預かる管理人のような存在であったという説もあるが、いずれにしても退去を迫る家主に対して店子が居座りを決め込むことは許されなかったろう。
 翻って現在は、借り手にはしっかりと借家権が認められていて、大家といえども簡単に追い出すことはできない。転居してもらうには一般的に借り手との交渉が不可欠で、それなりの補償金が必要になることも多い。
 もちろん、借家人の権利は相続後も引き継がれる。ちまたでは相続にあたって「契約したのは被相続人だから死去により契約は解除する」などと一方的に借主に通知してくるケースも散見されるが、法的には応じる必要は全くない。これは土地の賃借に関しても同様で、借り手は「相続で賃借権を取得しました」と通知するだけで手続きは終了する。
 借地権とはそれほどまでに強い権限を有しているため、契約期日の到来に際しては契約の更新を地主に請求することができ、また契約を更新しない場合には建物の買い取りを地主に請求することもできる。
 なお、借地権の評価は、その土地の更地での金額に借地権割合を掛けて計算する。借地権割合は、国税庁ホームページで公開されていて、土地に路線価が定められていれば「財産評価基準書」の路線価図に、定められていなければ評価倍率表に記載されている。
 気を付けたいのは、借りた土地や建物を本来の目的以外で使用する際には、借地借家法にもとづく権限が認められず、相続財産として評価の対象とはならない。
 また、これらの借地権とは異なり、契約期間の満了をもって更新せずに借地権が消滅する「定期借地権等」もある。評価にあたっては、基本的にその土地の更地としての金額に定期借地権割合と逓減率を掛けて計算するが、定期借地権割合と逓減率は借地権割合とは異なり、個々の契約ごとに計算が必要になる。


相続専門の税理士による、相続、生前対策、事業承継のご相談は、初回無料で実施中です

税理士法人早川・平会計