Vol.0495
<タックスニュース>
国税庁長官が職員給与の改善を要望 「職員の負担は増大し続けている」
国税庁の藤井健志長官は5月14日、人事院の一宮なほみ総裁と森永耕造事務総長に対し、国税職員の給与を改善するように求める要望書を提出した。改善を要望する理由として藤井氏は、税務行政を取り巻く環境の変化に伴う負担増に加え、国民のプレッシャーにさらされやすい職務の特殊性に伴う負担への考慮を挙げている。
要望書では、国民の社会的・経済的な不満や公務員全体に対する批判が税務の執行の場であらわされることが多いとしたうえで、「税務調査に非協力的な納税者からいわれのない誹謗・中傷、脅迫的言動を受けることもある」と、職員がプレッシャーにさらされていることを強調している。さらに「税務職員の言動は報道の対象とされることが多く、私生活においても高いモラルが要請される」と職員の重責を強調し、給与水準の改善を求めた。また税務職員は頻繁に異動の対象となるため、転居や生活基盤の再構築といった負担が非常に大きいことも挙げている。
このほか経済の国際化や広域化、またICT化の進展などによって「職員一人一人に掛かる負担は質・量とともに増大し続けている」として、環境変化に伴う負担増に見合う給与水準とするように求めた。
なお税務署職員の平均年収は770万円。国家公務員の平均より50万円ほど高く、民間企業と比べると350万円高いことになる。
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<タックスワンポイント>
支払額が変化する振替休日と代休の違い 代替休暇の略称ではない
本来なら休日である日に従業員を働かせて、あらかじめ決めておいた日にその分の休みを取らせることを「振替休日」というが、意外と「代休」と混同して使われていることが多い。単なる言葉の使い間違いでは済まされず、支払う賃金が変わってくることもあるので違いをしっかりと覚えておきたい。
休みの日に働かせたとしても、その分の休みを与えればプラマイゼロと考えたくもなるが、法律はそう簡単ではない。まず休日に働かせるということは労働基準法上35%の割増賃金が必要となる。残業代や深夜手当と同じ考えだ。これを「普通の日」と対等に交換してしまおうというのが「振替休日」の制度だ。振替休日とすれば、出勤した休日は割増賃金が不要になる。だが、振替休日でなく、単に「代わりの日に休ませた」というだけの「代休」とすれば、労働日は休日出勤となり35%の割増が必要になるという違いだ。
振替休日か代休かを判断するポイントは事前予告にある。あらかじめ労働日を休日と交換しておくことで「振替休日」として認められる。
代休日は「休んでいる日」なので賃金の支払いは発生しないものの、会社側としては、振替休日と比べて休日手当が必要な分だけ「損」ということになる。
なお、労働日と同じ週に振替休日を設定すればその週の総労働時間は変わらないが、別の週に振り替えると総労働時間が増えるので、時間外手当としての割増賃金の支払いが必要となることに注意が必要だ。
振替休日と代休の違いに付随して、もうひとつ気を付けたいのが「代替休暇」という制度だ。振替休日を略して一般的に「振休」と呼ぶことがあるため、代休は代替休暇の略称だと思いがちだが、これは全く別の制度だ。
2010年度に施行された改正労働基準法では、1カ月60時間を超える時間外労働に対する法定割増賃金率を従前の「25%以上」から上乗せして「50%以上」に引き上げた。この上乗せ部分の割増賃金に代えて有給休暇を付与する仕組みが「代替休暇制度」だ。残業60時間超分を「カネ」か「休み」か、どちらで受けるかは、基本的に従業員の判断による。
言葉の使い方ひとつで支払い賃金が増えることもあり、また場合によっては未払い賃金で訴えられることもある。しっかりとガードを固めたいところだ。
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