<タックスニュース>

節税保険の見直し  がん保険の実態調査へ

 中小企業の経営者向けの「節税保険」の課税ルール見直しを巡り、国税庁は法人契約のがん保険について契約の実態を調査することにした。がん保険については4月に課税を強化する方針を決めたが、生保業界の猛反発を受けて事実上の撤回に追い込まれている。調査の結果を踏まえ、改めて判断する。
 国税庁は4月に示した課税見直し案で、経営者の死亡に備えた保険だけでなく、がん保険なども一律に課税を強化する方針を打ち出した。生保各社が終身契約のがん保険について、保険料の支払期間を短縮するケースが増えてきたためだ。アフラック生命保険や第一生命グループのネオファースト生命保険などは、2年払いや3年払いに切り替えた。終身払いだと年間数万円程度の保険料だが、短期払いでは年間数百万円の保険料を損金として算入できる仕組みで、節税効果が大きく向上。こうした「節税保険」では、中小企業の経営者の死亡に備えた商品の販売合戦が過熱した。保険料を全額損金算入できる上に、一定の期間を過ぎてから解約すると支払った保険料の大半が返ってくるため、解約を前提とした販売が広がっていた。
 見直し案では、解約時に戻ってくる保険料の割合を示す返戻率が50%以下なら保険料の全額損金算入を認めるが、50%を超えて節税効果が大きい場合には損金に算入できる割合を制限。過熱した節税保険ブームに歯止めをかけようとした。しかし国税庁は2012年の法人税通達で、福利厚生などの目的で企業が契約して保険料を支払い、経営者や従業員が非保険者になる商品について、返戻金がなければ保険料の全額損金算入を認めていた。このため、生保各社から「手のひら返しだ」と批判が殺到し、再検討に追い込まれた。

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<タックスワンポイント>

お墓の購入は増税前に駆け込め  引き渡し期限は19年9月末日

 2度の延期を経て、今回こそは消費税率10%への引き上げが現実のものとなりそうだ。住宅や自動車などの高額商品をはじめ、様々な業界が駆け込み需要を期待して営業攻勢をかけている。なかでも最近になって活気づいているのがお墓の業界だ。墓石は、中国産の廉価品でも80万円以上、最高級の香川の庵治石となれば800万円クラスもざらにあるほど高額な買いものだ。消費税率2%の違いは大きいだけに購入者が相次いでいるという。
 一般に、「お墓を買う」と言うが、実際には墓地の購入とセットだ。お寺や霊園などから墓地の永代使用の権利を購入し、そこに別業者である墓石屋から墓を買って設置する。
 注意したいのは、実際に墓が完成するまでに1~2カ月はかかることだ。予定通り消費税率が引き上げられたとして、現行の税率適用は2019年9月30日までであるため、それまでに墓の引き渡しが完了していることが8%税率の適用条件となる。契約済状態であっても実際に墓が建立していなければ税率引き上げ後の10%となる。
 なお、墓は消費増税を見越した購入だけでなく、相続税の節税対策としても効果的だ。相続税法では、墓地や墓石は被相続人が生前に取得していれば相続税の対象外の財産となる。また、墓地の購入は、法的には「所有権」ではなく「使用権」となるので、購入時の不動産取得税や購入後の固定資産税などもかからない。生きているうちに高額なお墓を買うことで財産を減らせるため、効果的な節税対策となり得る。
 また、高額商品の購入では、ポイント還元やマイレージ加算のメリットを考えてカード決済にする人もいるだろうが、ローンを組んで相続対策をする場合は、支払いはあくまでも生前のうちに完了している必要があることも覚えておきたい。

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