Vol.0512
<タックスニュース>
台風15号被害の修理補助金 一部損壊も国が9割負担へ
政府は、台風15号による住宅被害について、従来は国の支援制度では対象外である一部損壊の建物も特例的に救済対象とすることを決めた。自治体が創設した補助制度の補助金の9割を国が負担する。被害が大きい千葉県が対象で、他の都県についても今後検討する。
消防庁によると、今回の台風では1都7県で住宅被害が発生。その9割が、屋根瓦が飛ぶなどの一部損壊とされ、ほとんどが千葉県に集中している。
国の被災者生活再建支援法と災害救助支援法では、住宅再建費用のうち最大300万円を公費で負担するが、対象はいずれも半壊以上の被害に限られる。損壊率20%未満とされる一部損壊は対象外で、拡大を求める声が出ていた。
今回は被害が大きかったことに伴う特例措置として、千葉県が創設した補助金を交付金や特別地方交付税でまかない、国が実質9割を負担する。修理費の上限補助金額や割合は、今後被災自治体が決める。
また、内閣府は、自治体が住宅被害の認定を行う際、台風後の雨も考慮するよう通知した。屋根が壊れて雨水が入った家は、建物としては一部損壊でも住み続けることが難しいといったケースも見受けられる。屋根の大部分が壊れていれば全壊や大規模半壊とみなすなど弾力的に運用する。
日本損害保険協会の金杉恭三会長(あいおいニッセイ同和損保社長)は19日の記者会見で、台風15号の被害は「過去のワースト10に入るレベル」と言及した。保険金支払額は数千億円に達する見込みだ。一方、停電の影響で保険会社への事故の受け付けや自治体への被害報告は滞っており、今後さらに被害が増える可能性がある。
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<タックスワンポイント>
共済と生命保険の使い分け 掛け金の安さが共済最大の強み
共済は生命保険と同じく、もしもの時に備えるものだが、生保とは様々な点で異なる特徴を持っている。例えば、共済事業は組合員自らが運営し、相互扶助の精神のもと、組合員に最大の奉仕をすることを目的としている。一方、生命保険事業はれっきとした営利事業だ。また加入対象者を見ても、共済事業は原則として組合員やその家族のみが対象だが、生命保険は不特定多数を対象にしている点が異なる。
もっとも、こうした違いがあるとはいえ、加入者にとっては保障を目当てに契約し、何かがあった時にはお金を受け取れることに変わりはない。お金も、生命保険では「保険金」「保険料」「配当金」と呼ばれるものが、共済では「共済金」「共済掛金」「割戻金」と呼ばれるが、両者は実質的に同じものだ。
では両者にはそれぞれ、どのような強みと弱みがあるのか。まず共済の強みとして挙げられるのは、掛け金が安いこと、保障内容が改訂されて手厚くなっても掛け金は値上げされないこと、共済事業の決算内容がよければ割戻金をもらえることなどがある。一方のデメリットとしては、原則として組合員以外の加入ができないこと、共済の種類自体が少ないこと、保障の絶対額は生命保険より少ないことなどがあるだろう。
これに対して生命保険のメリットは、誰でも加入が可能なこと、保障内容などのバリエーションが豊富で商品も多いこと、必要保障額を自身で設定できることなどがあり、デメリットとしては保険料が高いこと、契約者によって保険料が変わることなどが挙げられる。共済と生命保険にはそれぞれ強みがあり、お互いの弱みを補い合っている部分もあるので、中小企業経営としては必要に応じて両者を使い分けるのが賢明と言えそうだ。
そうしたなかでも経営者として最低限押さえておきたい共済は、「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」と「小規模企業共済」の2つだろう。経営セーフティ共済は、取引先が倒産して債権回収が困難な時に共済金の貸付が無利子で受けられたり、急な資金が必要になった時に無担保、低金利で融資が受けられたりするもので、掛け金の全額が損金になるという節税面でのメリットもある。小規模企業共済は、個人事業主の廃業時や会社役員の退任時に共済金が受け取れる、小規模事業者向けの退職金制度と言える。こちらも掛け金を損金に算入できるので、従業員数などの加入資格を満たせるなら、ぜひ利用を検討したいところだ。
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