<タックスニュース>

2020年度税制改正大綱  上場株評価の変更 見送り

 上場株式の相続税評価額の引き下げにつながることが期待されていた金融庁の税制改正要望が、2020年度大綱には反映されなかった。同庁は現行の評価法が「相続税の負担感の差」や「投資家の資産選択における歪み」につながると強調してきたことから、次年度以降も検討される項目とはなりそうだ。
 相続した上場株式の相続税制上の評価は、他の財産と同様に、原則では被相続人の死亡日の価格(終値)で判断する。ただし、相続時から納付期限までの10カ月間の価格変動リスクがあることから、死亡日の終値以外にも、死亡した月の毎日の終値の平均額、死亡した月の前月の毎日の終値の平均額、死亡した月の前々月の毎日の終値の平均額――の3つも併せて判断し、最も低い価格を相続税評価額とすることができる。
 ただ、上場株の価格は1日でも大きく動くだけに、4つの「終値」だけで判断すると高額になりやすい。変動リスクの低い他の資産と比べて相続税評価上の扱いが不利になりやすいため、金融庁は、死亡日の前年の平均額、死亡した月以前の2年間の平均額――の2つも評価方法に加えることを要望していた。

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<タックスワンポイント>

外国人労働者の国外親族の扶養控除  外国語の書類もしっかり確認を

 厚生労働省によると、2018年10月現在の外国人労働者数は146万人で前年同期比18万人(14%)増となり、2007年に雇用状況の届出が義務化されて以降、過去最高を更新した。国別では中国が全体の26%を占め38万人でトップ、次いでベトナムの31万人(21%)、フィリピンの16万人(11%)となっている。また、外国人労働者を雇用する事業所も前年同期比11%増の21万6348カ所で、こちらも過去最高を記録している。
 外国人労働者のほとんどは出稼ぎであるため、賃金は故郷に送金していることになる。そうなると、その家族は当該外国人労働者にとって「国外居住親族」となり、扶養控除等の適用を受けることになる。
 所得税の計算における「控除対象扶養親族」とは、「居住者の親族でその居住者と生計を一にするもののうち、合計所得金額が38万円以下である者で、年齢16歳以上の者」を指す。
 国外居住の親族を控除対象とするには、「親族関係書類」と「送金関係書類」という特別な提出書類が必要となる。前者は「六親等内の血族」「配偶者」「三親等内の姻族」であることの証明をするためのもので、「戸籍謄本その他これに類する書類」「出生証明」「婚姻証明」が該当する。身分証明書といっても「運転免許証」や「パスポート」のみでは認められない。
 もうひとつの送金関係書類は、金融機関が行う為替取引により居住者が国外の親族に支払いをしたことを明らかにする書類を意味する。またクレジットカード発行会社による商品の購入代金に関する書類も含まれる。これらは、年末調整を行う時に提出または提示がとなる。
 なお、外国語で作成されている書類には翻訳文の提出も必要だが、現実には誤った書類が添付されていることが少なからずある。外国語で書かれているため内容を理解しない事業主もいるようだが、公の提出書類であるため中身はきちんと確認したい。

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