<タックスニュース>

21年度予算は過去最大106兆円  コロナ対策費に5兆円の予備費

政府の2021年度予算が3月26日、成立した。一般会計総額は106兆6097億円と9年連続で過去最大。新型コロナウイルス対策では不測の事態に備えて5兆円の予備費を計上したが、感染拡大は一部地域で「第4波」の様相も呈しつつある。中小企業や家計の窮状が長引けば、遠からず補正予算の編成を迫られそうだ。
菅義偉首相は予算成立後、記者団に「リバウンドを防ぎ、しっかりこの予算の中で対応したい」と述べ、コロナ感染拡大防止に万全を期す考えを強調した。
だが、29日には大阪府の吉村知事が「(感染拡大の)第4波に入った」として、特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」の適用を国に求める考えを表明。30日には府内の新規感染者が432人と約2カ月ぶりに400人を超えるなど急速に状況が悪化している。宮城県、東京都などでもリバウンドの傾向は鮮明だ。
こうした中、21年度予算には前年度の10倍に当たる5兆円の「新型コロナウイルス感染症対策予備費」が計上された。「一般的な景気対策の1~2回分に匹敵する異例の規模」(財務省幹部)だが、政府は年明け以降、1月15日~3月23日のわずか2カ月余りで約4兆円の予備費を支出した。そのうち約3.4兆円が飲食店などへの協力金と一時支援金だ。
実際、緊急事態宣言が解除されても午後9時までの時短営業などで厳しい経営を強いられる飲食店などは数多く、こうした業種を中心に雇用環境の改善も鈍い。政府はコロナ禍の長期化に伴う企業業績の低迷で21年度税収は20年度当初比9.5%減の57兆4480億円を見込むが、企業の投資や雇用、家計の消費といった実体経済の回復が遅れれば、一段の税収減にもつながりかねない。
麻生太郎財務相は26日の記者会見で「予算が通ったばかりで1次補正なんて考えたこともない」と述べ、現時点で補正の必要性を否定した。ただ、リバウンドが「第4波」の域に達すれば、さらなる支援は欠かせない。夏場を前に予備費が底を突く事態が現実味を帯びれば、「衆院選も控えて与党から1次補正の圧力が強まるのは間違いない」(国内大手証券エコノミスト)との指摘もある。

税、申告、事業承継のお悩みは無料相談実施中の税理士法人早川・平会計までどうぞ

<タックスワンポイント>

迫る申告期限! 雑損控除のポイント  「原状回復」って具体的にどんなこと?

自然災害により被害を受けた人は、翌年の確定申告の際に「雑損控除」を適用することで損害分を所得から差し引くことができる。雑損控除は、自然災害で住宅や家財に損害を受けた時に、本人か生計を一にする親族を対象として、「損害額から保険金や損害賠償金を差し引いた金額-所得の10分の1」か「損害額のうち、被災後の取り壊しや土砂除去などにかかった費用-5万円」のうち、多いほうの金額を差し引くこととなっている。
控除の対象となる金額は、水に浸かってしまった家財や車、洪水などで流出してしまった現金というような災害で失われた直接的な被害だけではない。壊れてしまった家屋の再建費、泥の除去費用、ガレージの修繕など、災害に遭う前の状態に戻すための費用も幅広く含まれている。雑損控除の適用を受けるためには、確定申告書に被害額などを記載し、併せて災害のための支出を証明する領収書などを添付すればよい。
注意点として、せっかく壊れた家を修理するのだからと元の状態より良いものにアップグレードしてしまうと、その部分については雑損控除の対象とはならないことだ。
国税庁のQ&Aでは、「被害を受けた住宅等について行う原状回復のための修繕費用は雑損控除の対象となります」とする一方で、「被災直前よりその資産の価値を高め、その耐久性を増すための支出と認められる部分については、雑損控除の対象となる損失の金額には含まれません」と答えている。
これは会社の税務申告でもたびたび判断に悩む、修繕費と資本的支出の話と本質は同じだ。ただし会社の場合、資本的支出とみなされた部分についても長年にわたって損金算入していくことが可能だが、個人は事業者でない限り減価償却の仕組みはないため、何の税制上の措置も受けられない。今後生活していくために必要ならいいが、「どうせ雑損控除で税金が戻ってくるだろう」などと思いこんで高価なリフォーム工事を実行してしまうといらぬ出費になる可能性がある。
なお結果的に資産価値を高める工事をしたとしても、そのなかに原状回復部分が含まれていることもあるだろう。このように原状回復部分と資産価値を高める部分の区分が難しい時には、その工事費用の総額のうち3割を原状回復、7割を資産価値を高める部分として申告することが認められている。

相続専門の税理士による、相続、生前対策、事業承継のご相談は、初回無料で実施中です

税理士法人早川・平会計