Vol.0079号
<タックスニュース>
「超党派で消費税論議を!」 新首相呼びかけも野党動かず
所信表明演説では、消費税率の引き上げを念頭に「税制の抜本改革に着手することが不可避」とは述べたが、「消費税」という税目に直接言及するまでには至らなかった菅直人首相。こうした姿勢に、自民党の谷垣禎一総裁は代表質問で「消費税隠しとのそしりを免れない」と批判した。
その代わり、演説で各野党に呼びかけたのは、超党派による「財政健全化検討会議」の創設と、会議での建設的な議論だった。これには各野党はそろって否定的な見解を示し、理解を示したのは、財政健全化論者で知られる「たちあがれ日本」共同代表の与謝野馨氏ぐらいだった。
菅首相は代表質問では、「(消費税率を)引き上げるとすれば、軽減税率を入れるか、いま検討している」と答弁するなど、小出しに増税議論の地ならしになるような発言を繰り返している。国政選挙を直前にして、ここまで増税に踏み込んだ総理は異例で、世論調査で6割以上の国民が消費税率の引き上げに賛成している状況を後ろ盾に、思い切った発言に踏み込んだものだ。菅首相や野田佳彦財務相は、法人税、所得税も含めた税制改革について「そう遠くない時期にひとつの方向性を示す」と発言しており、参院選後に増税議論が本格化する見通しだ。
<タックスワンポイント>
特例適用には明細書必要に 国税庁がQ&A作成
租特透明化法の成立で平成23年4月1日以後に終了する事業年度から法人税関係の租特を適用する場合、「適用額明細書」の提出が必要になる。そこで国税庁はこのほど、この適用額明細書についてひな型を示すと共に、全7問のQ&Aを発表した。
適用額明細書が対象とする法人税関係特別措置とは、「法人税に関する租税特別措置のうち、税額または所得の金額を減少させるもの」。具体的には、?中小企業者等の法人税率の特例?試験研究を行った場合の法人税額の特別控除?中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却――など。
対象は法人の負担を軽くするものに限られるため、法人の負担が増加する措置、交際費の損金不算入制度などは記載する必要はない。
また、適用額明細書を添付しなかった場合、提出忘れや記入ミスをした場合についてQ&Aでは、「添付漏れまたは適用額の記載誤りなどがあったら、できるだけ速やかに適用額明細書の再提出を」としている。出し忘れたからといって、即座に租特適用が取り消される――ということはないというわけだ。
ちなみに、修正申告をしなければならなくなったとき、すでに適用額明細書に記載した法人税関係租特の適用額が変更になることもある。この場合は「変更後の適用額明細書の添付が必要」としているので、新たに正しいものを作り直して提出する必要がある。