Vol.0082号
<タックスニュース>
海外経済に一服感…… 景気回復にブレーキ ――内閣府まとめ
内閣府が7月6日発表した5月の景気動向指数(速報値、2005年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比0・1ポイント低下の101・2となり、2009年3月以来14カ月ぶりに前月を下回った。半年ほど先の景気動向を表す先行指数も3・0ポイント低下の98・7と、2カ月連続で悪化した。内閣府は景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いたものの、津村啓介政務官は「先行きに不透明感が感じられる」と警戒感を隠さない。
足元の景気にブレーキがかかったのは、海外経済の回復に一服感が出ているためだ。金融の引き締めで中国の景気拡大ペースが鈍っているほか、アメリカも回復に力強さはみられない。一致指数では、設備投資動向を示す投資財の出荷指数が2・1%減と大きく落ち込んでおり、輸出の減速が企業の生産や投資の停滞につながっていることを示した。省エネ家電の購入を促すエコポイント制度などの政策効果が薄れ、小売業の販売額や鉱工業生産が減少したことも響いている。
景気回復ペースが弱まることは、政府の財政再建計画にも影を落とす。「景気の先行き懸念が強まれば、与野党の増税への反発が一段と強まるのは確実」(財務省幹部)だけに、政府は景気の動向に神経をとがらせている。
<タックスワンポイント>
さようならワールドカップ 売れ残りグッズは評価損計上
世界中が熱狂したサッカーワールドカップ南アフリカ大会。われらが日本代表も、ベスト16にまで進出する健闘をみせた。予想外の快進撃に、関連グッズの売り上げなどによる経済効果も予想をはるかに上回る規模に達したようだ。
しかし、すでにワールドカップは終了し、グッズの売り上げは今後、落ち込む一方。不良在庫を嫌う一部の小売店では、”セール価格”でグッズを売り出しているようだ。ただ、すでに商機を逃した商品だけに、仮に仕入れ値以下の価格で販売しても、すべて売り切ることができるとは限らない。
ワールドカップ関連グッズのような「流行に左右される商品」が売れ残った場合、それらの商品は陳腐化したものとして、評価損を計上することが可能だ。通常、棚卸資産の評価損は、商品が破損するなど物質的な損害があった場合に計上するもの。しかし、「今後明らかに通常の価格で販売できない商品」についても同様に評価損を計上できる。
ただ、この「今後明らかに通常の価格で販売できない商品」には明確な基準がなく、税務調査の際にももめやすい部分。陳腐化資産の評価損計上には、慎重な判断が求められる。