<タックスニュース>

復興増税15~20年  民公合意に自民に警戒感

 東日本大震災の復興財源などを賄う臨時増税案を巡る、民主、自民、公明の3党協議が本格化した。
民主は増税期間について、公明の意向を受け入れて当初の10年から15~20年に延長する方針で、「民公」合意をテコに、20日に招集する臨時国会での成立を目指す。ただ、「(60年償還の)建設国債に準じた年数」を主張する自民との隔たりは依然大きい。民公とも自民を置き去りにすることへの警戒感もあり、協議の行方は予断を許さない。
 政府・与党の復興増税案は、所得税、法人税、たばこ税を軸に増税期間は「10年が基本」としていた。公明は、当初たばこ増税に慎重な姿勢を示していたが、「ほかの財源確保が難しい」「健康面でも望ましい」などの党内の声を受け、増税容認に転換。一方で、増税期間は15~20年の延長を求めた。石井啓一政調会長と話した民主の前原誠司政調会長は「ご意向にそえる」として延長する考えを示した。
 ただ、民主との対決姿勢を鮮明にする自民は、伊吹文明元幹事長、野田毅党税調会長らがたばこ増税に猛反発するほか、増税期間の大幅延長を要求する。茂木敏充政調会長が「30年程度」と話すのが伝わると、長老らは「とんでもない」と叱責。増税の開始時期まで先送りする案もある。
 復興増税は公明の合意さえ得られれば、関連法案を可決できるだけに、自民内にも「自公分断・民公接近」を警戒し、歩み寄りを求める声もある。それでも、公明も「選挙を考えれば、自民党とは離れられない」(財務省幹部)との見方は強いほか、前原氏も周囲に「自民を置き去りにすると、後が怖い」と話すだけに、税目や期間を巡る調整はなお続きそうだ。

<タックスワンポイント>

相互協議10年で2倍  国税庁、対応人員を増加

 日本と外国の間で発生する「二重課税問題」に対応するため、国税庁と外国の税務当局との間で行われる「相互協議」の実施状況について、協議件数が10年前と比較して約2倍に増加していることが分かった。
 国税庁では発生件数の増加に対応するため、23事務年度は専門の職員を33名から41名に増やしている。海外へ関連企業を設置する企業の増加によって、平成22事務年度の協議発生件数は157件で、その内9割以上を移転価格に関する案件が占めている。二重課税を回避するための「事前確認」に関する事案は発生件数中135件となった。
 問題の処理が終わった件数は過去最多の164件(前年比106%)を記録している。一件あたりの平均処理期間は24・8カ月となった。相互協議の相手国については、米国、豪州、英国の順で多く、特に米国と豪州の事案が約半数を占めた23年6月現在、日本が締結している48の租税条約すべてに相互協議に関する規定が置かれている。

税理士法人早川・平会計