<タックスニュース>

政府税調「医師優遇税制」廃止を検討  税負担の公平性に適さず

 政府税制調査会は、医師や小規模病院を対象とした所得税や法人税課税の特例措置について、縮小・廃止を含めて見直す検討に入った。実際の経費より多くの金額が経費として認められるケースが多く、「税負担の公平性から適切でない」などと会計検査院が改善を求めていた。
厚生労働省は早急な措置変更に慎重で、12年度税制改正大綱で具体案は盛り込まれない見通しだが、今後の課題として見直しの方向性は示す方針だ。
 特例措置は、年間の社会保険の適用対象となる診療報酬が5千万円以下の医師と歯科医、医療法人が対象。実際の経費を算定する代わりに、診療報酬に応じて57~72%を概算経費とみなして報酬額から差し引き、所得税や法人税の課税所得とすることを認めている。事務作業を軽減し、適切な医療体制を確保するのが狙いだ。
 しかし、会計検査院が特例適用者を調査したところ、①概算経費率(平均70・4%)と実際の経費率(同51・5%)の差が大きい、②適用者の多くが実際に経費を計算したうえで、概算経費と比べて有利な方を選択している、③多額な自由診療報酬があるのに特例の適用を受けているケースがある―などと指摘。財務省も「特例の存否を含めて制度のあり方を再検討すべき」と主張している。
 一方、厚労省は、「検査院の調査は都市部に偏っている。地域医療の確保に大きな打撃を与えるため、十分な実態調査が必要」と早急な見直しに慎重な姿勢を見せた。日本医師会も現時点では「静観」を決め込んでいる。ただ、政府税調内では「都会の医師はこれで儲かっている」との批判が強く、12年度大綱では見直しの方向に言及する見通しだ。

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<タックスワンポイント>

国税庁 「相続税」の調査状況を公表

 全国の国税局、税務署が平成22年事務年度(22年7月~23年6月)に実施した相続税の調査状況が明らかになった。当局の調査担当者が納税者の自宅などを訪問する、いわゆる実地調査の実施件数は1万3668件。そのうち、調査によって税務当局から申告漏れなどの指摘を受け相続税の追徴課税処分を受けた納税者は82・5%に上っている。
 申告漏れ課税価格の総額は3994億円。実地調査1件当たりでは2922万円という規模になるが、つまり、これが調査を受けた納税者の〝平均〟申告漏れ金額―というわけだ。そして過少申告加算税、重加算税を含めた実際の追徴課税処分は総額で797億円、調査1件当たりでは583万円となっている。申告漏れを指摘された相続財産で最も多いのが、現金・預貯金で1332億円、次いで土地719億円、有価証券631億円となっている。現金などを指摘される割合は年々増加しているが、これは当局の担当者が重点的に調査していることがあると同時に、バブル以降、一貫して下落傾向が続いている地価、そして不動産市場や証券市場の低迷が強く影響していることが予想される。

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