<タックスニュース>

税と社会保障の一体改革  国民と閣僚の対話集会スタート

 「税と社会保障の一体改革」に関する主要閣僚と国民の対話集会が始まった。消費増税などへの国民理解を進めたい考えだが、参加者からは景気への影響や社会保障の削減を懸念する声が相次いだ。一方、富山市の会場では公募での応募者が8人にとどまるなど、盛り上がりを欠いた会場も。世論を喚起して、与野党協議を拒否し続ける野党に翻意を促すのは難しそうだ。
 岡田克也副総理が出席した長野市の集会には約160人が参加。「消費税率を3%から5%に上げた97年は景気悪化を招き、税収が減った」との指摘があり、岡田氏は「経済危機が起きれば増税に歯止めをかける。駆け込み需要も期待でき、致命的なことにはならない」と説明した。民主党の年金改革案については「月7万円の最低保障年金では足りない」との意見が出たが、「財源と裏腹の問題。無限にお金は出ない」とした。滋賀県長浜市では安住淳財務相が約20人と車座になって説明。会場からは「消費税率10%で足りるのか」と、将来不可避な追加増税を封印する政府・与党案への疑問を突きつけられたほか、民主党が建設中止を公約した八ッ場ダムの凍結解除を批判する声も出た。一方、小宮山洋子厚生労働相が出
席した長崎市では、同県選出で消費税慎重派の山田正彦元農相が現れ、「国会議員の定数削減や歳入庁の設置が先だ」と主張する場面もあった。
 集会は今後も週末を中心に続き、関係閣僚は全国47都道府県を回る予定。野田佳彦首相も出席する方向だが、世論の支持拡大に向けて、険しい道のりが続いている。

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<タックスワンポイント>

マンション駐車場の貸し出しは収益事業?
キーワードは「共済的事業」と「管理費の割増金」

 マンションの駐車場に空きが出た場合などに、居住者以外の人にスペースを貸すことがある。この場合の使用料収入の課税判断について、国土交通省の照会に対する国税庁の回答で明らかになった。
 駐車場などのマンション付属施設の「区分所有権」を持つ居住者(区分所有者)は、施設の管理組合を作ることができる。このマンション管理組合は法人税法上の「人格のない社団等」に該当し、収益事業から生じた所得以外の部分には法人税が課税されない。つまり、「駐車場業」が収益事業か非収益事業かで、課税対象か否かの判断がわかれる。マンション管理組合が居住者に駐車場を貸し出す場合、①区分所有者を対象にした共済的事業であること、②駐車料金は区分所有者が駐車場の敷地を利用することによる「管理費の割増金」と考えられること、③使用料収入は区分所有者に分配されず、管理組合で管理に必要な費用を含めた修繕費または修繕積立金の一部に充当されること――という点から収益事業には該当しない。
一方で、外部利用者への貸出は必ずしもこれに該当しないため状況が異なる。
 国土交通省は前記③の条件を満たすことを前提とした3つのケースを提示し、それぞれの課税判断を国税庁に照会した。まず、利用者の募集を広く行い、使用許可は居住者であるかどうかに関わらず申し込み順、貸出条件も一律に設定するケースでは、一般の有料駐車場と同じとみなされ、共済的事業とは認められないため、その全体が収益事業として課税されるとした。次に、居住者の使用希望がない場合にだけ外部に対して募集を行い、居住者から利用の申し出があれば外部利用者に明け渡してもらうケース。これは「居住者のための共済的事業」と「余剰スペースを活用する事業」を行っていることになる。前者は非収益事業だが、後者は収益事業と判断されるため課税対象になる。なお、収益事業の所得計算の費用・損失の
額は、法人税基本通達15-2-5の「費用又は損失の区分経理」で計算する。最後は駐車場が空いていても外部に対して積極的な募集を行わず、非居住者から申し出があった時に短期的に貸出を許可するケース。外部に対する貸出は共済的事業の付随行為とみなされ、全て非収益事業になる。

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