<タックスニュース>

2013年度政府予算案決定  借金依存の財政運営は変わらず

 政府は1月29日、2013年度政府予算案を決定した。一般会計の総額は92兆6115億円で12年度予算の実質規模(92兆9181億円)を下回り、7年ぶりの減額予算となった。昨年末に発足した安倍晋三内閣は経済再生を新政権の最優先課題と位置付けており、大胆な金融緩和に続く、経済政策の第2弾となる。
 安倍首相は昨年末に12年度補正予算と13年度当初予算を一体化した「15カ月予算」として切れ目のない経済対策を指示した。緊急経済対策を柱とする13.1兆円の補正予算と合わせた歳出総額は100兆円を超える規模になる。防衛や公共事業に手厚く予算を配分し、政権交代に伴う新政権のカラーを打ち出した。
 歳出は国債費を除く政策に使う経費を70兆3700億円と12年度から若干減らした。地方交付税を減額したことや、経済対策の予備費9100億円を廃止した効果だ。沖縄・尖閣諸島の警戒監視強化のため戦闘機の購入などの防衛費を盛り込んで11年ぶりに増加させた。海上保安庁は巡視船の整備など領土・領海の警戒監視の費用を前年度比1.4倍の364億円に拡充した。インフラの補修や点検などにも予算を重点化して、公共事業関係費は12年度比15.6%増の5兆2853億円と4年ぶりに増加した。
 歳入は税収が12年度当初比7500億円増の43兆960億円で、新規国債発行額は同1兆3930億円減の42兆8510億円となり4年ぶりに税収が国債発行額を上回った。ただ、国債発行への依存率は46.3%で12年度の47.6%より改善するが、過去4番目の高さ。借金依存の財政運営は変わらない。そのため、国会論戦でも借金に依存した財政運営への批判が相次いでいるが、安倍首相は「経済再生を進める観点から大規模な補正予算を編成した。ただ、国債発行が将来の負担になるので財政出動をいつまでも続けるわけにいかない。民間投資と消費が持続的に拡大する成長戦略を実現させて、経済成長と財政健全化と双方を実現する道筋を検討する」と反論している。

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<タックスワンポイント>

現金捻出に裏ワザ  保険金減額の注意点

 長引く不況を背景に資金繰りに窮する会社の中には、やむを得ず保険契約を解約するケースもあるとか。「とにかく現金が欲しい」という会社にとっては、支払保険料のリストラに加え、保険の種類によっては解約返戻金という現金捻出が可能とあって魅力的に見えるのだろう。
 しかし焦りは禁物。長年大切に温めてきた保険を解約しなくても、同じ保険を使って現金を捻出する方法はある。契約者貸付しかり、保険金の減額しかり。保険金の減額は「保険契約の一部解約」と考えられているため、減額した部分にかかる保険積立金は解約返戻金として戻ってくる。
 ただし税務上の取り扱いには注意が必要。保険金減額にあたっては、保険契約一部解約による保険積立金の取り崩しを行い、保険金減額による返戻金との差額は、雑損失または雑益として計上することになる。
 この場合、保険積立金の取り崩し額をいくらにすればよいか迷うところだが、「保険積立金×減額部分保険金÷減額前保険金」で計算するのが妥当な処理。例えば、会社が契約者および保険金受取人、社長を被保険者とする養老保険で、当初の保険金2千万円を1500万円に減額するケース。減額時の保険積立金を400万円とすると、取り崩し額は100万円(400万円×500万円÷2千万円)となる。減額にともなう返戻金を50万円とした場合、差額の50万円を雑損失として計上することになる。
 社員にもしものことがあった場合の備えという保険本来の目的に加え、退職金の原資確保や資金調達ツールとしても活躍してくれる生命保険。手放す前にもう一度、問題解決方法を検討したい。


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