<タックスニュース>

安倍首相財政健全化法の検討を明言  黒字財政が実現できるか?

 安倍晋三首相は4日の衆院本会議で、財政健全化を進めるための立法措置を検討する考えを明らかにした。2月末に成立した緊急経済対策を柱とする2012年度補正予算は13.1兆円と大規模な財政出動を伴う中身となったこともあり、安倍政権の経済政策(アベノミクス)を進めていくうえで、今後は財政運営にも目配りする姿勢を示したものだ。安倍首相は日本維新の会の藤井孝男氏の質問に対する答弁で、「財政健全化に向けて、長期的に持続可能な財政構造を確立するため、歳出・歳入両面からの取り組みを進めていかなければならない」と述べて、立法措置を含めた検討をする考えを明らかにした。民主党政権は財政健全化を進めるため、複数年度で予算の大枠を管理する「中期財政フレーム」を策定し、予算編成を
行ってきた。安倍政権は中期フレームに変わる新たな財政健全化計画を今夏もつくる方針だが、仮に財政健全化に向けた取り組みを立法化するとなれば、強い責任を伴うものになり、財政健全化を実現するための強い決意を示すことになりそうだ。
 政府は政策実行に必要な経費を新たな借金をしないでどの程度賄えているかを示す指標である、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の名目国内総生産に対する赤字を15年度に10 年度(6.4%)よりも半減させたうえで、20年度に黒字化することを目標に掲げている。立法化する場合にはこうした数値目標を盛り込む可能性がある。
 一方、麻生太郎副総理兼財務相は5日の閣議後記者会見で、安倍首相が言及した立法措置について「まだ何も決まっていない」として、具体的な検討には着手していないとした。ただ、「法律で縛らないといけないほど大盤振る舞いっぽくなることは避けなければならない」と話し、財政健全化の取り組みは必要との認識を改めて示した。

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<タックスワンポイント>

個人時代からの社員  退職金税務に注意

 社会的信用を向上させるため、また税務処理上のメリットをフル活用するために、個人事業者が法人成りするケースがある。こうした会社の中には、長年にわたる個人事業時代に業務内容も使用人の数も大幅に拡大し、法人成りする際には事業規模もかなりのスケールになっているところも多いようだ。
 ところで、このように法人成りした会社には通常、個人事業時代から引き続き勤務している社員と、法人成りした後に入社した社員の両方が混在している。両者は入社時期が違うだけで、表面的にはなにも変わらないわけだが、個人事業当時から勤務していた社員が退職する場合には少し注意が必要。退職金の税務上の取り扱いが、法人成り後に入社した社員の場合と違ってくるからだ。
 個人事業を引き継いで設立された法人が、個人事業当時から引き続き在職する社員の退職に伴い退職金を支給する場合、一般的にその退職金には、個人事業時代の勤務にかかる分と法人成り後の勤務にかかる分の両方が含まれていると考えられる。
 このため、こうした社員に支払う退職金の税務処理に際しては、原則として個人事業時代の勤務に対応する部分の金額は法人の損金の額には算入されず、個人事業時代にかかる最終年分の所得税の必要経費に算入することになる。
 ただし、その社員の退職時期が、法人設立後、相当の期間が経過した後である場合にはその限りではない。この場合は、会社がその社員に支給した退職金の金額を法人の損金の額に算入することができる。この場合の「相当の期間」については「おおむね3年以上」という説があるが、法令化されているわけではないので最寄りの税務署に確認されたい。

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