Vol.0226
<タックスニュース>
2012年度税収43兆9314億円 3年連続で前年度を上回る
財務省が3日発表した12年度の国の一般会計決算概要によると、税収は前年度比2.6%増の43兆9314億円となり、2月に成立した補正予算での見積額を1兆3244億円上回った。アベノミクスへの期待による円安・株高で企業業績が回復し、法人税収が想定より伸びたのが主な要因で、3年連続で前年度の税収を上回った。
税収はリーマン・ショック後の09年度には38兆円台まで落ち込んだが、08年度の44兆円台に迫る水準にまで回復した。税収が予想を上回ったことなどから、12年度の新規国債発行額は補正予算での見積もり額より2兆円少なく済んだ。
一方、歳出では12月以降の国債は想定金利より実績が下回ったため利払い費が約5000億円削減され、歳出全体では1兆8562億円減り、歳入が歳出を1兆7176億円上回った。このうち、地方交付税の増額分に充てる分を除いた剰余金は1兆2946億円にのぼる。
財政法などでは、剰余金の半分は国債、特に復興国債の償還に充てるよう定めているが、特例法を制定すれば補正予算の財源に回すことも可能。国は、15年度までに国内総生産(GDP)に対する基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字幅を10年度の半分以下にする財政健全化目標を達成する必要があるが、与党内にはすでに補正予算編成を求める声も上がっており、財務省は「今後の予算編成の中で検討する」と説明している。
項目別の税収は、法人税は株価上昇で企業の保有株式の評価益が膨らみ、前年度決算比4.4%増の9兆7583億円。株式の配当収入が増えたことから、所得税は同3.8%増の13兆9925億円となった。
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<タックスワンポイント>
役員退職金が変わった 今年から1/2課税廃止
人事異動で一般社員が役員に昇格した際、一般社員であった期間の勤務に対して退職金を支払うことがある。原則として「退職金」は実際に退職した時に会社の損金に算入すべきものだが、このように実質的には退職しない者への退職金であっても、それが退職給与規定に基づいて支払われるものであれば、その支給年度において損金に算入することができる。
これは、常勤役員から非常勤役員に、また、取締役が監査役になるなどの分掌変更があった場合に会社が支給する役員退職金も同様。ただし、この場合は分掌変更後の報酬がおおむね50パーセント以上減少するケースに限られる。
ところで、役員退職金については今年から「2分の1課税」が廃止されているので注意が必要だ。2分の1課税とは、退職所得控除額を引いた残額の2分の1を所得金額とするという取り扱い。退職所得は長期間にわたる勤務の対価がまとめて後払いされる性格であることや、退職後の生活保障的な所得であること等を考慮して設けられていたものだ。
一般的に短期間勤務で支給される退職金については退職所得控除により課税されることは少ないが、中には2分の1課税を前提に、短期間のみ在職することが当初から予定されている法人役員等が、給与の受け取りを繰り延べて高額な退職金を受け取ることにより、税負担を回避するという事例が多く指摘されていた。
このように、役員と一般社員の退職金をめぐる環境はかなり異なることを踏まえ、昨年の税制改正によって勤続年数5年以内の法人役員等の退職所得については2分の1課税が廃止された。 役員退職金の2分の1課税の廃止は、平成25年分以後の所得税からの適用となっている。
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