Vol.0228
<タックスニュース>
投資減税で経団連が提言 非製造業者も対象に
経団連は、政府が6月に閣議決定した成長戦略に「思い切った投資減税で法人負担を軽減する」と明記したことを受けて、税制措置に関する提言を発表した。「非製造業も含め、日本全体で投資を拡大するためには、生産設備に限らず、事業用資産全体を対象とすることが不可欠である」として、非製造業も投資減税の対象とすることを求めた。
財務省によると、業種別の法人税収に占める製造業の割合は減少している。11年度の法人税収のうち、製造業は全体の28・5%で3割を切っており、06年度に比べて約7ポイント低下した。11年度の法人税収ではサービス業が全体の16・6%、卸売業が12・9%で続いている。非製造業も投資減税の対象にした場合、税収が大きく減少する可能性があり、財務省は難色を示しそうだ。
成長戦略では、「生産設備の新陳代謝を促進する取り組みを強力に推進し、設備の新陳代謝を進める企業への支援策を検討する」とあるが、経団連の提言では、「高付加価値製品の製造、生産能力の増強、生産の効率化、省エネ、耐震化などへの投資については幅広く『新陳代謝』の定義を満たす」と、広範な適用を求めている。また、減税期間は最低でも5年間とするべきであるとして、切れ目なく投資を喚起するために今年度からの実施を要望している。
政府は、設備投資の減価償却費を投資した初年度に一括して経費として計上することで、初年度の税負担を軽くする「即時償却」を減税策として検討している。経団連は、即時償却しても、最終的な税負担は一般的な減価償却と変わらないことから、「絶対的な減税で、投資インセンティブとして、より優れている」として本来支払うべき法人税額から一定の金額を差し引く「税額控除」も認めるべきと主張している。
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<タックスワンポイント>
ビジネスモデル考案 報奨金は何所得?
会社の発展につながるビジネスモデルの考案や業務上有益な発明をした社員に対して、報奨金や賞金などを支給する制度を設けているケースは少なくない。
社員の発明にかかる特許権等に関連して会社がその社員に金銭を支給する場合、その内容やタイミングによって税務上の取り扱いが違ってくるので注意が必要だ。
例えば、社員の発明や考案、創作にかかる特許、実用新案登録、意匠登録を受ける権利を会社が承継することに対して支給する場合、それが権利の承継に際して一時に支給するものであれば譲渡所得扱い。権利承継後に支給するものは雑所得扱いとなる。
また、社員が取得した特許権等について「実施権」を設定したことにより支給するものは雑所得扱い。なお、この場合の特許権等の使用料は源泉徴収の対象となる「報酬・料金」に該当するため支給時に10.21~20.42パーセントの源泉徴収をする必要がある。
このほか、事務作業の合理化や製品の品質改善、経費節約のための工夫など、特許等を受けるまでには至らない発明や工夫に対して金銭を支給する場合にも一定のルールがある。
その工夫や考案等が通常の職務の範囲内で行われたものである場合には給与所得。通常の職務の範囲外で一時に支給したものは一時所得。通常の職務の範囲外で、その工夫や考案等の実施後の成績等に応じて継続的に支給するものは雑所得、といった具合。
職務の範囲内であるか否か、特許などの権利が絡んでくるか否かで取り扱いが大きく変わってくる。会社の繁栄に欠かせないアイデアや発想力を引き出すためにも、報奨金絡みの税務は整理しておきたい。
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