<タックスニュース>

首相「法人税改革に着手」  今後の税制改正議論に影響

 安倍晋三首相がスイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、さらなる法人税改革に今年着手すると発言した。安倍首相が法人税の実効税率引き下げに踏み込んだとの見方がある一方、自民党税制調査会幹部は「法人税改革としか言っておらず、税率には触れていない」として、首相の従来通りのスタンスと変わらないとの認識を示している。
 菅義偉官房長官は1月23日の記者会見で、安倍首相の発言について「国際競争の中で、国際水準にすることは必要だ」と述べ、国際競争力の観点から法人税率引き下げを具体的に検討していく考えを示した。菅長官は「税率を引き下げたら、その分税収が減るという単純な問題ではない」と述べ、減税により経済が活性化することで税収が増える可能性も今後、検証していく方針だ。
 日本の法人税率は14年度から35.64%に下がるが、中国(25%)、韓国(24.2%)、シンガポール(17%)などアジアの主要国より高いとされる。政府の経済財政諮問会議でも民間議員から25%程度への引き下げの提言が出されたほか、経団連の次期会長に内定した榊原定征東レ会長は1月27日の記者会見で同様に25%程度への低減を要望した。法人税の実効税率1%あたりの税収は約4700億円(14年度予算案)で、10%の引き下げは約5兆円の減収になる。
 こうした発言は法人税引き下げに慎重な自民党にも影響を与える。自民党税調は毎年、11月中下旬から税制改正の議論をスタートするのが通例だが、「11月まで何もやらないわけにはいかない」(党税調幹部)として1月27日、今年に入って初めての党税調幹部会を開催。今後、法人税率を下げた外国の事例などの勉強会を開くことを確認した。

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<タックスワンポイント>

復活前提で休業  税務申告は忘れずに

 「収入がゼロになった」、「社長の体調不良」などの理由でいったん会社を休業するケースがある。折をみて復活も視野に入れているなら、登記は残したままで休眠状態にしておけば、いつでも再開できるうえ、解散に比べてコストもかからない。
 ただし休眠会社とするためには、それなりの手続きが必要。税務署や都道府県税事務所、市町村役所への届け出のほか、将来の復活が前提なら、休眠中であっても税務申告が必要になる。休眠状態といっても、あくまで「企業活動を停止している」というだけのこと。法人としての登記が残っている限りは、法的に存在するため、当然、申告も必要になる。収入がゼロであっても「収入0円」として申告すること。
 青色申告制度や欠損金がある場合の繰越控除の適用は、税務申告を続けていないと受けることができなくなってしまうので注意が必要だ。
 これは法人住民税の均等割なども同様だが、自治体によって取り扱いが違うので窓口で確認する必要がある。
 また、役員の改選も忘れてはならない。休眠中も定款に決められている期間ごとに役員および監査役の改選をする必要がある。
 なお、株式会社は最後に登記があった日から12年が経過すると会社法上の休眠会社となり、その後も放置しておくと、法務大臣の判断により「みなし解散」とされてしまう(会社法第472条)。ただし、みなし解散とされてしまっても、その後3年以内に株主総会を開き、決議することにより存続することは可能。
 復活が前提の休眠なら、面倒でも必要な手続きはきっちり行いたい。

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