<タックスニュース>

円安倒産 前年から倍増  対策予算は来年2月以降に

 円安進行によるコスト高を原因とした企業倒産が増加している。東京商工リサーチによると、今年1~11月の「円安関連倒産」(負債額1000万円以上)は259件で前年同期から倍増。政府は中小企業の経営支援策を盛り込んだ経済対策を年内に取りまとめる方針だが、執行までには時間がかかる。原油価格は急落しているが、今後も円安が収まる気配はなく、さらなる倒産増加が懸念される。
 産業別では、最多が貨物自動車運送など運輸業(94件)。製造業(54件)、卸売業(45件)、サービス業など(25件)、小売業(15件)と続く。11月単月の倒産は21件で、10月より3件減ったが、10月末の日銀の追加緩和後、円相場は一時1ドル=121円台まで進んだ。日銀のさらなる緩和がなくても、米国の早期利上げ観測を背景にさらなる円安観測が強まっているのが実態で、今月から年明け以降、倒産がさらに増えかねない。一方で、経済対策を盛り込んだ政府の2014年度補正予算は、中小企業の資金繰り対策や、運輸業などの燃油高対策が入る方針だが、成立は2月中旬となる見通しだ。
 さらに人手不足による倒産も1~11月に276件発生した。原材料高や人件費上昇と合わせて苦境に立たされる中心が外食業。大手牛丼チェーン「吉野家」はこのほど牛丼(並盛り)の80円値上げを発表し、同業他社も今後追随する可能性があるが、客数減のリスクもはらむ。
 実際、輸入品価格の高騰に苦しむ食品や日用品メーカーは昨年以降、値上げを進めたが、消費低迷が長期化する中、足元では逆に値下がり傾向が目立つ。消費者庁がまとめた10月の物価モニター調査によると、生活関連25品目の税抜き価格は、増税直前の3月より平均0.5%下落。首都圏の格安スーパー社長は「売れ残ったメーカー品の在庫を安く調達できている」と明かす。価格転嫁がうまくいくかどうかは見通せず、中小企業の厳しい経営環境が今後も続きそうだ。

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<タックスワンポイント>

太陽光発電  名義変更でも即時償却可

 緊急時に備えて太陽光発電を導入する企業は多い。また、税優遇、そして発電された電力を電力事業者が買い取ってくれる「固定買取り制度」があるため、企業にとって経済的なメリットもある。さらに企業の「エコ活動」を対外的にアピールするのにも有効だ。
 税優遇措置のグリーン投資減税とは、発電設備のコストが即時償却可能な制度で、中小企業に関しては取得価額の7%の税額控除との比較選択もできるようになっている。
 太陽光発電の税優遇措置は、新品設備の購入が要件になるが、例えば未使用の設備を譲り受けて購入した場合でも適用されるケースもある。
 東京国税局は設備の譲渡を受けて電力収益事業を行う企業から、税の扱いに関する回答を求められ、確定申告の際には売買契約書と「再生可能エネルギー発電設備軽微変更届出書」を提出すれば優遇措置が適用されると回答した。
 通常、電力収益事業を行う企業は、補修や点検などの設備に関する法令上の要件を満たしたうえで「設備認定」を受けなければならないが、今回のケースは、所有者名義の変更のみだったため「軽微な変更」として認定は不要とされた。

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