<タックスニュース>

国家戦略特区、東京都全域に拡大へ  沖縄はUSJ誘致検討

 政府は、東京23区のうち9区に限定している国家戦略特区の指定区域を、都内全域に拡大する方針を固めた。6月15日に開かれた東京都、神奈川県、千葉県成田市の国家戦略特区を議論する区域会議で舛添要一都知事の要望を受け、了承した。6月末にまとめる「骨太の方針」に盛り込む。
 都では2014年5月に、千代田、中央、港、新宿、文京、江東、品川、大田、渋谷の9区が特区エリアとして指定された。特区として指定されると雇用規制が緩和されて労働者が働きづらくなるとの指摘もあり当初の参加は一部にとどまっていたが、その後、台東区や豊島区などが相次いで戦略特区に取り組みたいという意向を示していた。
 桝添氏は会議で、指定区域を現在の9区から他区や多摩地域、伊豆大島などの島しょ部にまで広げるよう要請した。特区に指定されれば、都市公園法の規制などが緩和され、より柔軟な土地活用が行えるようになる。また酒税法の最低製造数量基準が適用されなくなるため、伊豆大島などでは特産品の焼酎を少量で製造・販売して観光客誘致に利用できるようになるという。
 会議では、すでに指定されている有楽町や日本橋兜町など6地域の再開発計画を特区事業として認定した。有楽町では旧都庁跡地に会議場を建て、国際的な会議の拠点としての機能を強化する。日本橋兜町では外国人起業家の誘致に向けた再開発を行う。特例を使うことで、都市計画の認可に必要な手続きが省略化でき、スピーディーに開発が行われるようになる。桝添氏は同日の会見で「いい方向に向かっている」と述べ、積極的に特区事業に取り組んでいく姿勢を見せた。
 一方、戦略特区を利用して、沖縄県ではテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の誘致を検討している。USJは進出先候補の一つとして同県本部町の国営海洋博公園を挙げているが、公園区域内に設けられる建築物の面積には上限があり、現行法のもとでは実現が困難となっている。県は戦略特区による規制緩和で要件をクリアし、人気テーマパークを誘致して観光客増加につなげたい思惑だ。5月30日には和泉洋人首相補佐官が現地視察を行うなど、政府も前向きな姿勢を見せているが、石破茂地方創生担当相は「現時点でUSJが具体的に(沖縄進出を)検討していることはない」として、慎重な見方を示した。

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<タックスワンポイント>

還付金の未払いミス多発  税制改正で計算方法見直し

 地方自治体が住民税などを徴収しすぎた場合に、納税者に還付する際の利息となる「還付加算金」の計算方法が2015年度税制改正で見直された。還付加算金をめぐっては、全国で計算ミスによる納税者への未払いが多発し、問題となっていた。
 還付手続きでは、納税者の申告に基づいて所得税が減額され、その後、住民税などの地方税も還付される。還付金には支払い決定までの日数に応じて、金額に7・3%を乗じた利息が発生するが、現行の制度ではその計算方法が個人事業主と給与所得者で異なっていた。個人事業主などの場合、「所得税の減額通知のあった日の翌日から1カ月後」が計算の開始日となるのに対し、給与所得者の場合は「住民税を納めた日の翌日」が計算の開始日となる。
 この計算方法をめぐり、多くの地方自治体で、給与所得者に対しても個人事業主と同じ計算を適用するミスによる給与所得者への未払いが発生していた。本来「納めた日の翌日」とすべきケースを、すべて「減額通知のあった日の翌日から1カ月後」として日数を計算してしまい、本来よりも短い日数に応じた還付金を支払っていたわけだ。15年2月には、奈良市が約6年間に1890人の計算でミスがあり、計約1200万円が未払いになっていたことを発表した。また兵庫県でも14年までに21市町で3400万円の未払いがあったことが発覚している。同様の未払いは全国で起こっているとみられ、その総額は15億円に達するとの調査結果も出ている。発覚した自治体は未払い額を納税者へ返還する手続きを進めているが、返還が認められるのは時効となる5年以内の未払いに限られるため、返還を受けられない納税者は多数に上ると思われる。
 そのため、15年度税制改正では、還付金の起算日にかかる計算方法が統一されることとなった。給与所得者に対する日数計算の開始日を「還付申告をした日の翌日から1カ月後」に見直す。個人事業主らの計算期間とほぼ統一することで、混乱をなくす狙いだ。
 新しい計算方法は4月1日から施行されている。

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